判旨
複数の犯罪について判決を言い渡す際、各犯罪の犯情に軽重がないと認めるときは、いずれの犯罪の犯情が重いかを特に判決に明示することを要しない。
問題の所在(論点)
数個の犯罪事実を認定して処断する際、判決書において、どの犯罪が他の犯罪に比して犯情が重いかという判断を具体的に明示する必要があるか(刑事訴訟法における判決の理由記載の程度)。
規範
併合罪等の複数の犯罪事実を認定する場合において、裁判所が各犯罪の犯情に軽重の差がないと判断したときは、個々の犯罪の情状の重短を具体的に対比して判決書に記載する必要はない。
重要事実
被告人が複数の罪名について起訴され、原判決において刑を科された。弁護人は、原判決が各犯罪の犯情の軽重を判決に明示していないことが大審院判例に違反するとして上告した。
あてはめ
最高裁判所は、裁判所が各犯罪の犯情に軽重がないと認める場合には、特定の犯罪の犯情が重いことを明示する必要はないとの見解を示した。本件において、原判決がそのような明示を欠いていたとしても、それは裁判所の裁量の範囲内であり、判例違反や法の不適用といった違法は存在しないと判断した。
結論
各犯罪の犯情に軽重がないと認めるときは、いずれの犯罪の犯情が重いかを判決に明示することを要しない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
併合罪(刑法45条)等の処断において、量刑上の評価が各罪で等しい場合に、判決の理由記載として「いずれが重いか」を逐一記述しなくても違法ではないという、判決書作成の実務上の指針を示すものである。
事件番号: 昭和28(あ)637 / 裁判年月日: 昭和29年7月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴因変更手続に関する原判決の判断が、当時の下級審判例の趣旨に沿うものであり、不当ではない場合には、上告理由としての判例違反は認められない。 第1 事案の概要:弁護人が、原判決における訴因変更手続の判断に判例違反があるとして上告を申し立てた事案である。弁護人は東京高等裁判所および大阪高等裁判所の判例…