判旨
おとり捜査によって犯罪が誘発されたとの主張は、原判決の認定事実にない限り前提を欠く。また、共同被告人間に刑の軽重の差異があっても、直ちに憲法14条の平等原則に違反するものではない。
問題の所在(論点)
1. おとり捜査による犯罪誘発が認められない場合の憲法違反主張の適否。2. 共同被告人との間での量刑の差異が、憲法14条の法の下の平等に反するか。
規範
共同被告人の間において、同一の犯罪事実に関与した場合であっても、それぞれの情状や役割等に応じて刑の軽重に差異が生じることは許容され、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するものではない。
重要事実
被告人が、自らの所為がいわゆる「おとり捜査」によって誘発されたものであると主張し、それが憲法11条や13条に違反すると訴えた事案。また、共同被告人との間で刑の軽重に差があることが憲法14条に違反するとして上告した。
あてはめ
おとり捜査の事実については、原判決の認定していない事実を前提とするものであり、適法な上告理由にはあたらない。また、共同被告人間での量刑の差異については、個別の事情に基づくものである限り憲法14条の問題ではなく、実質的には量刑不当の主張にすぎない。これは刑事訴訟法405条の上告理由には該当しない。
結論
本件上告は棄却される。被告人の主張はおとり捜査の事実関係を欠き、また量刑の差異も憲法違反とは認められない。
実務上の射程
本判決は、共同被告人間の量刑の不均衡が直ちに憲法違反(平等権侵害)となるわけではないことを明確にしている。司法試験においては、量刑の妥当性を憲法論として構成することの限界を示す際や、上告理由の適格性を論じる際の参考となる。
事件番号: 昭和26(あ)1530 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】おとり捜査のような捜査機関による誘発行為があったとしても、その事実が認定されない限り、処罰を憲法違反とする主張は採用されない。 第1 事案の概要:被告人らは麻薬を所持していたとして、第一審および原審で麻薬取締法違反の罪で有罪判決を受けた。これに対し被告人らは、当該麻薬所持は警察署員の意を受けた協力…