判旨
一定の期間継続して家賃を受領し続けた行為について、家賃を一回受領するごとに一罪が成立するのではなく、包括して一罪として起訴・審判することは適法である。
問題の所在(論点)
一定の期間にわたり反復して家賃を受領した場合、その罪数関係をいかに解すべきか。個別の受領行為ごとに独立した罪が成立するのか、あるいは包括して一罪として扱うことができるのか。
規範
反復継続して行われる同種の行為については、その態様や性質に鑑み、個別の行為ごとに独立した犯罪が成立すると解するのではなく、全体を包括して一罪として扱うことが可能である。
重要事実
被告人が家賃を受領した行為について、検察官は個別の受領行為ごとに起訴したのではなく、一連の行為を包括して起訴した。これに対し弁護人は、家賃を一回受領するごとに一罪が成立すべきであり、原判決の判断には憲法違反や判例違反があると主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人は家賃を一回受領するごとに一罪の成立があるものとして起訴・審判されたわけではない。家賃の受領という同種の行為が継続して行われている実態に鑑みれば、これを包括して一罪として構成することは、公訴事実の特定や審判の対象として不合理とはいえない。したがって、個別の受領ごとに罪が成立することを前提とする弁護人の主張は、その前提において失当である。
結論
本件は家賃受領ごとに一罪が成立するものとして審判されたものではなく、包括一罪としての扱いは適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
包括一罪の成否が問題となる場面で、特に同種行為の反復(集合犯的性質を有する事案)において、検察官の裁量による一括起訴を肯定する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)4146 / 裁判年月日: 昭和28年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁の認可を必要とする行為において、事後的にその認可を得たとしても、認可前になされた違法な行為の違法性が遡及的に消滅することはない。 第1 事案の概要:被告人が、都道府県知事の認可が必要とされる行為を認可を受けずに行った。その後、当該行為について知事の認可を得たことから、先行する行為の違法性が阻…
事件番号: 昭和28(あ)5569 / 裁判年月日: 昭和33年1月23日 / 結論: 棄却
一 訴因の記載が明確でない場合には、裁判所は、検察官の釈明を求め、検察官がもしこれを明確にしないときにこそ、訴因が特定していないものとして公訴を棄却すべきである。 二 控訴審が事実の取調をすることなく、第一審の訴訟記録を書面審理しただけで、被告事件につき、更に判決することは憲法第三九条後段に違反しない。