判旨
行政庁の認可を必要とする行為において、事後的にその認可を得たとしても、認可前になされた違法な行為の違法性が遡及的に消滅することはない。
問題の所在(論点)
行政上の認可を要する行為を無認可で行った後、事後的に認可を受けた場合に、当該先行行為の違法性が消滅するか。
規範
法令により行政庁の許可や認可が義務付けられている行為について、その許可・認可を得ずに行った行為は、その時点で構成要件に該当し違法性が確定する。その後に適法な認可を得たとしても、過去の行為時点における違法性が事後的に否定されるものではない。
重要事実
被告人が、都道府県知事の認可が必要とされる行為を認可を受けずに行った。その後、当該行為について知事の認可を得たことから、先行する行為の違法性が阻却される、あるいは遡及的に適法化されると主張して上告した。
あてはめ
本件において、所論の日時に知事の認可を得たという事実があったとしても、それによって認可前に行われた犯行の違法性が失われるものではない。行為時に必要な手続を欠いていた以上、その後の事情によって既になされた犯罪の成立が妨げられることはない。したがって、事後の認可は犯罪の成否に影響を及ぼさないと解される。
結論
事後的に知事の認可を得たとしても、本件犯行の違法性がなくなることはない。
実務上の射程
行政刑法における無許可・無認可営業等の事後的な適法化の主張を排斥する際の論拠となる。実務上、許可取得の見込みがあったことや事後の取得は情状にすぎず、犯罪の成否自体には影響しないことを示す射程を有する。
事件番号: 昭和27(あ)2274 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、第一審判決が認定しておらず、かつ控訴審でも主張されなかった新事実を主張して、刑訴法411条の適用を求めることはできない。 第1 事案の概要:被告人が家屋を賃貸した行為等につき刑事責任を問われた事案において、被告人側は上告趣意として、本件家屋が新築であったことや、売淫のために賃貸借さ…