判旨
高等裁判所が刑訴法386条1項2号に基づき下した控訴棄却の決定に対しては、同法428条による異議の申立ては可能であるが、上告を申し立てることはできない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が刑訴法386条1項2号により下した「控訴棄却の決定」に対し、上告を申し立てることができるか。
規範
刑訴法上、裁判所の下した「決定」に対して不服がある場合には、特別の規定がない限り、異議の申立て(同法428条等)によるべきであり、終局判決を対象とする上告の申立てをすることはできない。
重要事実
被告人が控訴を提起したところ、高等裁判所は刑訴法386条1項2号(控訴趣意書の提出遅延等)に該当するとして、控訴棄却の決定を下した。これに対し、被告人が最高裁判所へ上告を申し立てた事案である。
あてはめ
本件で争われている対象は、高等裁判所が刑訴法386条1項2号に基づき下した「決定」である。刑訴法428条は決定に対する異議の申立てを認めているが、上告に関する規定は判決を対象とするものであり、決定に対する上告を許容する法的根拠は存在しない。したがって、決定に対して上告を申し立てることは法的に不可能であると解される。
結論
本件上告は不適法であり、刑訴法414条、385条1項により棄却される。
実務上の射程
裁判所の裁判が「判決」か「決定」かにより、不服申立の方法が厳格に区別されることを示す。特に控訴棄却が決定の形式で行われた場合、上告ではなく異議申立ての適否を検討すべきであるという実務上の基本原則を確認する際に有用である。
事件番号: 昭和28(す)536 / 裁判年月日: 昭和28年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がなした上告棄却の決定に対しては、抗告をすることが許されないだけでなく、これに代わる異議の申立てをすることも許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がなした上告棄却の決定(刑訴法414条、386条2項)に対し、不服として異議の申立てを行った。なお、具体的な事案の内容については…
事件番号: 昭和26(あ)3189 / 裁判年月日: 昭和26年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、上告趣意が刑訴法405条の上告理由に当たらず、かつ同法411条を適用して原判決を破棄すべき事由も認められない場合には、上告を棄却すべきであることを示したものである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が上告を申し立て、上告趣意書を提出した事案。最高裁判所が記録を精査したところ、上告趣意…