高等裁判所が、刑訴第三八六条第一項により控訴を棄却した決定に対してなされた上告申立を、異議申立と見ながら、同法第四一四条、第三七五条を準用して自ら棄却したとしても、右申立が異議申立期間後になされたものであることが明らかなときは、右の瑕疵は同法第四一一条所定の事由にあたらない。
刑訴第四一一条にあたらない一事例
刑訴法414条,刑訴法375条,刑訴法386条1項,刑訴法386条2項,刑訴法411条,刑訴法405条
判旨
控訴棄却決定に対しては、刑訴法386条2項に基づき異議の申立てをすべきであり、上告の申立てを行うことはできない。仮に不適法な上告申立てがなされた場合であっても、異議申立て期間経過後の提出であれば、実質的な救済を受ける余地はない。
問題の所在(論点)
刑訴法386条1項の控訴棄却決定に対し、上告を申し立てることの可否。また、原裁判所が自ら上告を棄却した手続の適否およびその救済の必要性。
規範
控訴棄却決定(刑訴法386条1項)に対する不服申立ては、同条2項および385条2項に基づく異議の申立てによるべきであり、上告の申立ては許されない。上告不適法の場合、裁判所は刑訴法414条、385条1項を準用して決定でこれを棄却すべきである。
重要事実
抗告人は、高等裁判所が刑訴法386条1項に基づき控訴を棄却した決定に対し、上告状と題する書面を原裁判所に提出した。原裁判所(高裁)は、刑訴法414条・375条を準用して自らこの上告申立てを棄却する決定を行った。これに対し、抗告人は憲法違反等を理由に再抗告(特別抗告)を申し立てた。
あてはめ
本件の上告申立ては、適法な異議申立てではなく許されない上告を申し立てたものであり、形式的に不適法である。原裁判所が自ら申立てを棄却した点には手続上の失当が認められるものの、当該上告状は異議申立て期間経過後に提出されたものである。したがって、仮に最高裁判所に記録が送付されたとしても、不適法として棄却を免れない以上、抗告人が実質的な救済を受けることはできない。
結論
控訴棄却決定に対する上告は不適法であり認められない。原審の手続に一部失当があっても、申立て自体が期間徒過後で不適法である以上、再抗告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟手続における決定に対する不服申立ての類型(異議申立て vs 上告)を峻別する際の根拠となる。手続違背があっても実質的な救済の必要性がない場合には、申立てが退けられる実務上の運用を示している。
事件番号: 昭和25(す)257 / 裁判年月日: 昭和26年12月26日 / 結論: 棄却
本件は当裁判所第二小法廷がさきに、本件申立人がした上告の申立について、その上告趣意は刑訴四〇五条各号所定の事由に該当しないものとして、同四一四条、三八六条一項三号により右上告を棄却した決定に対し、別紙のごとき理由により異議を申立てるものであるが、右のごとき当裁判所の決定に対し、異議の申立を許す規定は存在しないのであるか…
事件番号: 昭和28(す)536 / 裁判年月日: 昭和28年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がなした上告棄却の決定に対しては、抗告をすることが許されないだけでなく、これに代わる異議の申立てをすることも許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がなした上告棄却の決定(刑訴法414条、386条2項)に対し、不服として異議の申立てを行った。なお、具体的な事案の内容については…
事件番号: 昭和28(す)167 / 裁判年月日: 昭和28年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告棄却の決定をした場合、当該決定に対して異議の申立てをすることはできない。 第1 事案の概要:被告人Aが最高裁判所に上告を申し立てたが、最高裁判所は上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当しないと判断した。そのため、同法414条および386…
事件番号: 昭和26(す)422 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所のした決定に対しては、刑事訴訟法上、抗告の申立てをすることは許されない。最高裁判所の決定を対象とする不服申立ては不適法であり、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:申立人が、最高裁判所の既になした決定に対して不服を抱き、抗告の申立てを行った事案である。 第2 問題の所在(論点):刑事…