原審が原判示のビラを頒布した被告人等の行為を以て「地方税を納付しないことを煽動したもの」と認めたのは相当であり、これを非難する論旨は当らない。そしてそれ自体犯罪を構成する右の様な行為が憲法二一条の保障の範囲外であることは昭和二三年(れ)第一三〇八号事件同二四年五月一八日大法廷判決の趣旨に徴し明である。
地方税を納付しないことを煽動するが如きビラを頒布する行為と言論の自由
憲法21条,地方税法12条
判旨
地方税の不納付を煽動する行為は、それ自体が犯罪を構成するものであり、憲法21条が保障する表現の自由の範囲外である。また、勤労者の団体に該当しない組織の活動については、憲法28条の労働基本権による保障は及ばない。
問題の所在(論点)
1. 地方税の不納付を煽動する表現行為が、憲法21条1項の保障範囲に含まれるか。 2. 勤労者の団体といえない組織の活動に、憲法28条の保障が及ぶか。
規範
表現の自由(憲法21条1項)は絶対無制限ではなく、犯罪を構成するような煽動行為は同条の保障の範囲外である。また、憲法28条の保障を受けるためには、当該団体が「勤労者の団体」であることを要する。
重要事実
被告人等は「民主納税同盟」なる組織に属し、地方税を納付しないことを煽動する内容のビラを頒布した。被告人等は、かかる行為が憲法21条の表現の自由、および憲法28条の団体行動権(争議権等)によって保障される正当な行為であると主張して上告した。
あてはめ
1. 被告人等が行ったビラの頒布は、地方税の不納付を煽動するものであり、それ自体が犯罪を構成する性質を有する。このような煽動行為は、公共の福祉に反し、憲法21条の保障の限界を超える。 2. 被告人等が属する「民主納税同盟」は、単なる個人や団体の集合に過ぎず、憲法28条にいう「勤労者の団体」であるとは認められない。したがって、同条の適用を前提とする主張は前提を欠く。
結論
本件各行為は、憲法21条および28条のいずれによっても正当化されず、有罪とした原判決に憲法違反の違法はない。上告棄却。
実務上の射程
煽動的表現の保障限界を示す初期の判例であり、「犯罪を構成する煽動」は保障外とする。現代の二重の基準論や明白かつ現在の危険の法理と比較すると、保障範囲を狭く解する傾向にある点に注意が必要である。28条の主体については、労働組合に準ずる団体性を要求する実務上の基本姿勢を示す。
事件番号: 昭和27(あ)1246 / 裁判年月日: 昭和28年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が民主的団体の主要な地位にあることを理由に差別的取扱いを受けたという形跡が認められない以上、平等原則等に違反するとの主張はその前提を欠き、採用することはできない。 第1 事案の概要:被告人Aらが刑事訴追等を受けた事案において、被告人らは自らが「民主的団体の主要な地位」にあることを理由として、…