判旨
被告人が統制額を超過する価額で販売する目的で米麦を所持した行為は物価統制令違反に該当するが、その後の大赦令により赦免された場合には、免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
物価統制令違反の罪を犯した被告人に対し、有罪判決が確定する前に大赦令が施行された場合、裁判所はどのような裁判を行うべきか。また、複数の罪のうち一部のみが大赦の対象である場合の処理が問題となる。
規範
犯罪後の法令により刑が廃止されたとき、または大赦があったときは、刑事訴訟法337条各号に基づき免訴の判決を言い渡さなければならない。本件のように、物価統制令違反の罪が大赦令(昭和27年政令第117号)の対象に含まれる場合、裁判所は実体審理を打ち切り、免訴の言渡しを行うべきである。
重要事実
被告人A及びBは、統制額を超過する価額で販売する目的をもって粳精米および丸麦を所持した。この行為は物価統制令13条の2(当時)に違反するものであった。第一審および原審において有罪判決が下されたが、上告審の職権調査において、当該行為が大赦令1条87号により赦免された事実が判明した。また、被告人らには食糧管理法違反(無許可の譲渡し等)の事実も併せて存在していた。
あてはめ
被告人両名が統制額超過販売目的で米麦を所持した事実は、物価統制令13条の2違反に該当する。しかし、昭和27年政令第117号(大赦令)1条87号は同条の罪を赦免の対象としている。したがって、刑事訴訟法337条3号(大赦があったとき)に該当し、実体的な有罪判決を維持することはできない。一方で、食糧管理法違反(9条1項等違反)の事実については大赦の対象外であり、別途法令を適用して有罪とする必要がある。複数の犯罪事実のうち大赦にかかる部分については、刑訴法411条5号(判決後の大赦)を理由に原判決を破棄し、自判により免訴を言い渡すべきである。
結論
被告人両名の物価統制令違反については免訴とし、大赦の対象外である食糧管理法違反については、懲役刑(執行猶予付)および罰金刑を併科する。
事件番号: 昭和27(あ)2370 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に行われた大赦により免訴の事由が生じた場合、上告裁判所は職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡すべきである。併合罪の一部に大赦があったときは、その部分を免訴とした上で、残余の罪について刑を再構成して言い渡すこととなる。 第1 事案の概要:被告人両名は、食糧管理法違反等の罪で第一審…
実務上の射程
刑事訴訟法上の免訴事由(大赦・刑の廃止等)が認められる場合の裁判形式を示す。実務上は、犯罪後の法改正による「刑の廃止」(刑法6条、刑訴法337条2号)が論点となることが多いが、本判決は「大赦」による免訴(同条3号)の処理を端的に示している。答案上は、免訴が形式裁判であり実体判断に先立つことを示す際に参照される。
事件番号: 昭和26(れ)2500 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法令の改廃により刑が廃止された場合、刑訴法337条2号に基づき免訴の判決を言い渡すべきであるが、大赦令の布告があった場合も、刑訴法337条3号により同様に免訴の言渡しをなすべきである。 第1 事案の概要:被告人らは、物価統制令に違反し、純綿金巾および純綿ネルを統制額を超えて取引したとの公訴事実(原…
事件番号: 昭和26(あ)1701 / 裁判年月日: 昭和27年12月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告事件について大赦があったときは、裁判所は刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。数罪が併合罪の関係にある場合、大赦の対象となった罪については免訴とし、その他の罪については実体判決をすべきである。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法違反および物価統制令違反の罪に問われ、…
事件番号: 昭和26(あ)3397 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で調査し、当該部分について免訴の判決を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法違反及び物価統制令違反の罪に問われ、第一審及び控訴審で有罪判決を受けていた。被告人が上告中の昭和27年、政令第117号(平和条約の発効等に伴う大…
事件番号: 昭和26(れ)1612 / 裁判年月日: 昭和28年7月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦が行われた場合、大赦の対象となった犯罪事実については免訴の言渡しをすべきであり、併合罪のうち大赦の対象外である罪については、別途刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反(2件)および食糧管理法違反の罪により原審で有罪判決を受けた。しかし、上告審での審理中に「…