判旨
判決後に大赦が行われた場合、大赦の対象となった犯罪事実については免訴の言渡しをすべきであり、併合罪のうち大赦の対象外である罪については、別途刑を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
上告審の判決前に大赦があった場合、裁判所はどのような措置を講ずべきか。また、併合罪の一部のみが大赦の対象となった場合の処理が問題となる。
規範
被告事件について大赦があったときは、免訴の言渡しをしなければならない(刑訴法337条1号参照)。併合罪の一部について大赦があった場合には、当該部分について免訴を言い渡し、残余の罪について改めて刑を量定する。
重要事実
被告人は、物価統制令違反(2件)および食糧管理法違反の罪により原審で有罪判決を受けた。しかし、上告審での審理中に「昭和27年政令第117号大赦令」が公布・施行された。この大赦令により、被告人の犯した罪のうち物価統制令違反の事実は大赦の対象に含まれることとなった一方で、食糧管理法違反の事実は大赦の対象外であった。
あてはめ
本件では、原判決後の大赦により、物価統制令違反の事実は刑訴法上の免訴事由(大赦)に該当することとなった。そのため、職権により原判決の有罪部分を破棄した上で、当該事実については免訴を言い渡すべきである。他方、併合罪の関係にある食糧管理法違反については大赦の効力が及ばないため、確定した犯罪事実に基づき、改正前の食糧管理法等の罰則を適用して改めて罰金刑を算出し、言い渡すのが相当である。
結論
物価統制令違反の事実は免訴とし、食糧管理法違反の事実について被告人を罰金3万円に処する。
実務上の射程
大赦という極めて特殊な事情に関する判例であるが、免訴事由が判決後に生じた場合の職権破棄および一部免訴・一部有罪の具体的処理手順を示すものとして、刑事訴訟法の免訴(337条)の局面で参照されうる。
事件番号: 昭和26(あ)1701 / 裁判年月日: 昭和27年12月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告事件について大赦があったときは、裁判所は刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。数罪が併合罪の関係にある場合、大赦の対象となった罪については免訴とし、その他の罪については実体判決をすべきである。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法違反および物価統制令違反の罪に問われ、…
事件番号: 昭和27(あ)6703 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦が行われた場合、刑事訴訟法第411条5号に基づき職権で原判決を破棄し、免訴の言渡しをすべきである。一方、大赦の対象外である他の罪数については、適法に併合罪として処断される。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、物価統制令違反および食糧管理法違反の罪で起訴され、第一審および原審で有罪判…
事件番号: 昭和27(あ)2702 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦が行われた場合、大赦の対象となった罪については免訴すべきであり、それ以外の罪については確定した事実に基づき改めて法令を適用して処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法違反および物価統制令違反の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。しかし、上告審の係属中に「昭和27年政…
事件番号: 昭和26(あ)3397 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で調査し、当該部分について免訴の判決を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法違反及び物価統制令違反の罪に問われ、第一審及び控訴審で有罪判決を受けていた。被告人が上告中の昭和27年、政令第117号(平和条約の発効等に伴う大…
事件番号: 昭和26(れ)2500 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法令の改廃により刑が廃止された場合、刑訴法337条2号に基づき免訴の判決を言い渡すべきであるが、大赦令の布告があった場合も、刑訴法337条3号により同様に免訴の言渡しをなすべきである。 第1 事案の概要:被告人らは、物価統制令に違反し、純綿金巾および純綿ネルを統制額を超えて取引したとの公訴事実(原…