判旨
公判調書への記載事項に関する独自の憲法上の要求は存在せず、複数の書面が契印により一体化されている場合には、全体として一つの公判調書を構成すると認められる。
問題の所在(論点)
公判調書に特定の記載がないことが憲法に違反するか。また、分離しているように見える調書が契印によって公判調書の一部として認められるか(公判調書の形式的適格性)。
規範
公判調書の作成において、特定の事項の記載を義務付ける憲法上の規定は存在しない。また、複数の書面が契印(割り印)によって接続されている場合には、それらは一体の公判調書の一部を構成するものと解するのが相当である。
重要事実
被告人側は、公判調書に特定の事項が記載されていないことや、調書の形式に不備があること等を理由に憲法違反を主張して上告した。特に、問題となった調書が独立した書面ではなく公判調書の一部をなしているかどうかが争点となったが、当該書面には契印が押されていた。
あてはめ
まず、憲法上、公判調書に特定の事項を記載すべきとの規定は見当たらず、記載の欠落を理由とする違憲の主張は前提を欠く。次に、問題の調書については、その書面間に契印があることが確認できる。契印の存在は、複数の書面が物理的・内容的に連続し、一体の調書として作成されたことを外部的に示す客観的事実であるといえる。したがって、当該調書は適法な公判調書の一部を構成していると判断される。
結論
憲法違反の主張は当たらない。契印により一体性が認められる以上、公判調書としての適格性を有し、上告は棄却される。
実務上の射程
公判調書の形式的正確性が争われる場面での基礎的判例である。契印の有無が調書の一体性を判断する決定的な指標となることを示しており、刑事訴訟法上の調書の証拠能力や記載の正確性を争う際の前提として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1563 / 裁判年月日: 昭和26年10月2日 / 結論: 棄却
論旨のように公判請求書とそこに引用されている司法警察官意見書との間、又は司法警察官意見書とそこに引用されている犯罪一覧表との間に常に契印を必要とするものではない。以上のように審判の範囲は明確なのであるから公訴棄却をすべきものであるという論旨は採用できない。