判旨
供述録取書等の書面に契印が欠けている場合であっても、そのことのみをもって直ちに当該書面の証拠能力が否定されるものではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における書面の証拠能力に関し、契印の欠如という形式的不備が、証拠能力を否定すべき違法な事由に該当するか。
規範
刑事訴訟法上、書面に契印がないことが直ちに証拠能力を否定する事由となるものではなく、書面の成立の真正や一連の構成が他の事情により認められる限り、形式的な不備は証拠の適格性を左右しない。
重要事実
被告人の有罪判決において、証拠として採用された録取書等の書面に対し、弁護人が契印の欠如を理由としてその証拠能力を争い、上告を申し立てた事案である。
あてはめ
判旨によれば、契印の欠損を非難する論旨に対して、原判決がそれを否定した判断は相当であるとしている。これは、契印が欠けていたとしても、当該書面の内容の連続性や真正な成立が担保されているのであれば、実質的な証拠としての価値を失わないと評価したものといえる。
結論
本件における契印の欠欠は、証拠能力を否定すべき事由には当たらず、原判決の判断に違法はない。
実務上の射程
証拠書類の形式的要件に関する判示であり、契印がない場合でも実質的な成立の真正(刑訴法321条等)が認められれば、証拠能力が認められ得ることを示している。実務上、形式的不備を理由に証拠排除を主張する際の限界を示す基準となる。
事件番号: 昭和27(あ)6292 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
被害届を証拠とすることにつき被告人側は同意しているのであるから、これに署名又は押印を欠いてもこれを証拠となしうるものと解すべきである。