判旨
証人の供述が伝聞証拠に該当するか否かは、その供述内容の真実性を問題とするか否かによって決せられる。本件では、証人の供述が伝聞証言に当たらないとした原判決の判断に訴訟法上の違法はない。
問題の所在(論点)
証人による公判供述が、伝聞禁止の原則(刑訴法320条1項)に抵触する伝聞証拠に該当するか。また、それに関連して憲法31条(適正手続)違反の有無が問われた。
規範
刑事訴訟法320条1項が規定する伝聞証拠の禁止の原則は、公判期日外の供述の内容である事実の真実性を立証するために、当該供述を証拠とする場合に適用される。したがって、供述の内容そのものではなく、そのような供述が存在したこと自体を立証事項とする場合(いわゆる非伝聞)には、伝聞証拠には該当しない。
重要事実
被告人が刑事事件において、原判決が証人Aの伝聞証言を不当に証拠として採用したと主張し、福岡高等裁判所の判例違反および憲法31条違反を理由に上告した事案である。具体的には、第一審第2回公判調書における証人Aの供述が伝聞に該当するかどうかが争点となった。
あてはめ
最高裁は、記録上の証人Aの供述内容を検討した結果、原判決の判示前段において説明されている通り、当該供述は伝聞証言には当たらないと判断した。これは、当該供述が内容の真実性を立証するためのものではなく、その存在自体や他の事実を推認させるための間接事実として用いられたものと解される。したがって、伝聞法則の適用を認めるべきとする弁護人の主張は前提を欠いている。
結論
本件証人の供述は伝聞証拠に該当せず、これを用いた原判決に訴訟法違反や憲法違反は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
伝聞・非伝聞の区別に関する実務上の基本的一場面を示す。立証趣旨に照らして供述の真実性が問題とならない場合は、伝聞法則の適用外となることを再確認するものである。答案上では、伝聞の定義(内容の真実性を立証するための証拠)を論じる際、非伝聞の典型例として本件のような判断枠組みを援用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2375 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等関与罪の被告人に対し、その本犯(盗品等の売主)は共犯者にも共同被告人にも該当しないため、その供述の証拠能力について憲法38条3項の補強証拠を要しない。 第1 事案の概要:被告人が盗品等関与の罪で起訴された事案において、原審は窃盗の本犯であり当該盗品の売主であるAの供述を証拠として採用し、被告…