判旨
食糧緊急措置令違反の罪と外国人登録令違反の罪との間には、通常、手段・結果の関係があるとは認められないため、刑法54条1項後段の牽連犯は成立しない。
問題の所在(論点)
食糧緊急措置令違反の罪と外国人登録令違反の罪との間に、刑法54条1項後段の牽連犯が成立するか。
規範
刑法54条1項後段の「その手段たる行為又は結果たる行為が他の罪名に触れるとき」(牽連犯)が成立するためには、複数の犯罪の間に、その犯罪の性質上、通常それらが手段と結果の関係にあるといえる程度の密接な関係が必要である。
重要事実
被告人が、食糧緊急措置令違反の罪および外国人登録令違反の罪を犯したとして起訴された事案である。被告人は、これらの罪が牽連犯の関係にあると主張して、上告理由とした(なお、具体的な犯行事実に係る詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
食糧緊急措置令違反は食糧の適正な配分や流通を目的とするものであり、外国人登録令違反は外国人の居住状況等の把握を目的とするものである。両罪は、その保護法益や構成要件の性質を異にしており、一方が他方の犯罪の手段となったり、一方が他方の犯罪の結果として当然に生じたりするような関係にはない。したがって、両罪の間には通常手段・結果の関係があるものとは認められない。
結論
食糧緊急措置令違反の罪と外国人登録令違反の罪との間に牽連犯は成立せず、併合罪(刑法45条前段)として処理されるべきである。
実務上の射程
牽連犯の判断基準として「性質上の通常の関係」を要求する判例の立場を再確認するものである。答案上は、科刑上一罪を論じる際に、各罪の目的や態様を比較し、客観的に手段・結果の関係が類型的に存在するかを論証する際のリファレンスとなる。
事件番号: 昭和26(れ)1431 / 裁判年月日: 昭和26年9月25日 / 結論: 棄却
一 しかし本件記録中には、聴取書として原本たる多くの聴取書の外に、所論指摘の聴取書謄本同抄本が編綴されており、謄本又は抄本の原本たる聴取書は編綴されていない。そして、原審第二回公判調書には、ただ単に「各聴取書」とのみ記載され、「各聴取書原本」と記載されていないのであるから、右「各聴取書」の中には前示各聴取書の謄本及び抄…
事件番号: 昭和26(れ)1266 / 裁判年月日: 昭和26年10月26日 / 結論: 棄却
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【結論(判旨の要点)】判決書に契印がないことは、現行の刑事訴訟法下においては、それのみをもって判決を破棄すべき法令違反にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、原判決の判決書に契印がないことを理由として、旧刑事訴訟法下における最高裁判所の判例に違反する旨を主張し、上告した事案である。 第2 問題の所在(論点):判決…
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