判旨
判決書に契印がないことは、現行の刑事訴訟法下においては、それのみをもって判決を破棄すべき法令違反にはあたらない。
問題の所在(論点)
判決書に契印がないという事実が、刑事訴訟法上の判決を破棄すべき法令の違反にあたるか。特に、旧法下の判例との抵触の有無が問題となる。
規範
判決書における契印の欠如は、刑事訴訟法上の判決の成立要件や効力に直接影響を及ぼすものではなく、直ちに判決を破棄すべき法令の違反(絶対的控訴・上告理由等)を構成するものではない。
重要事実
被告人が、原判決の判決書に契印がないことを理由として、旧刑事訴訟法下における最高裁判所の判例に違反する旨を主張し、上告した事案である。
あてはめ
現行刑事訴訟法の解釈として、判決書に契印がないという形式的な不備が存在するとしても、そのことのみをもって判決自体の効力を否定すべき重大な法令違反があるとはいえない。旧法下の判例は新法下においてはそのまま妥当せず、判決の正当性や内容に疑義が生じない限り、本件の不備は破棄理由には該当しないと解される。
結論
判決書に契印がないことのみでは判決を破棄すべき法令違反にはあたらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
判決書の形式的要件の不備が上告理由となるかの限界を示す。実務上、契印の欠缺といった事務的な過誤については、判決の本質を左右しない限り、訴訟手続の無効や破棄事由として認められないことを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和26(れ)1266 / 裁判年月日: 昭和26年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な事由も認められない場合には、上告を棄却すべきであることを示したものである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てた事案であるが、判決文からは具体的な犯罪事実や第一審・控訴審の経過の詳細は不明であ…
事件番号: 昭和27(あ)1000 / 裁判年月日: 昭和28年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白のみに基づいて犯罪事実を認定することは憲法38条3項及び刑訴法319条1項に抵触するが、自白以外の補強証拠が存在する場合には、唯一の証拠による認定には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が起訴された犯罪事実について、第一審判決が被告人の自白を証拠として採用し、有罪判決を下した。これに…