判旨
上告趣意書が法定の提出期間を徒過して提出された場合や、主張の実質が訴訟法違反にすぎないのに違憲を主張する場合は、上告理由として不適法であり、上告を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
上告趣意書の提出期間徒過、および実質的に訴訟法違反を主張する場合の憲法違反の主張の適法性(刑訴法405条、414条、386条1項3号)。
規範
上告趣意書は法定の期間内に提出されなければならず、これに遅滞した場合は不適法となる(刑訴法414条、386条1項3号)。また、形式的に憲法違反を主張していても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合には、適法な上告理由には当たらない。
重要事実
被告人は、賍物故買、賍物牙保、賍物寄蔵被告事件について上告を申し立てた。しかし、弁護人が提出した上告趣意書は、法定の提出期間を経過した後に提出されたものであった。また、当該趣意書において憲法違反を主張していたが、その内容は「賍物寄蔵被告事件に関する公判調書が存在しない」という事実誤認に基づく訴訟法違反の主張であった。
あてはめ
本件の上告趣意書は法定期間経過後に提出されており、手続上の要件を満たしていない。また、主張の前提となる「公判調書の不存在」については、実際には原審の公判調書に「賍物寄蔵」の記載が確認できるため、事実誤認に基づいている。したがって、憲法違反の主張は実質において理由のない訴訟法違反の主張にすぎず、適法な上告理由を構成しない。
結論
本件上告は不適法であるため、棄却を免れない。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告審の厳格な手続要件(期間遵守)および、上告理由の「実質化」の原則を確認する際に用いられる。形式的な違憲主張を排し、内容を吟味して適法性を判断する実務運用を裏付ける判例である。
事件番号: 昭和28(あ)3321 / 裁判年月日: 昭和29年5月6日 / 結論: 棄却
上告趣意第二点は賍物牙保罪と印紙犯罪処罰法二条の罪との間に刑法五四条一項前段の適用を主張し原判決の認定した前者の罪のほか新らたに後者の罪の成立をも主張するのであつて、被告人に不利益な主張であるから不適法である。
事件番号: 昭和26(あ)516 / 裁判年月日: 昭和27年6月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、原判決における法令の解釈及び適用が過去の判例に違反するか否かを検討し、指摘された判例が本件に適切ではないとして、判例違反を理由とする上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決の法令解釈及び適用について、大審院大正5年(れ)第1469号事件の判例に違反すると主張して上告し…