判旨
刑事裁判において複数人が共同で作成した鑑定書は、その証明力が争われる場合であっても、証拠能力を認めることに妨げはない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、複数の鑑定人が共同で作成した鑑定書を証拠として採用し、これに基づき事実認定を行うことの適法性が問題となった。
規範
鑑定書が複数の鑑定人の共同作成に係るものであっても、その形式的性質のみをもって直ちに証拠能力が否定されるものではなく、その証明力については裁判所の合理的な判断に委ねられる。
重要事実
被告人側は、第一審が証拠として採用した二名の鑑定人(DおよびE)による共同作成の鑑定書について、その証明力を争い、原審の事実認定に誤りがあると主張して上告した。
あてはめ
本件では、鑑定書が共同作成であることを理由に証拠能力を否定する特段の事情は認められない。被告人側は鑑定書の証明力を争うことで事実誤認を主張するが、これは刑事訴訟法405条の上告理由には該当せず、第一審の証拠採用および原審の判断に違法はない。
結論
複数人の共同作成による鑑定書を証拠として採用し、事実認定を行うことは適法である。
実務上の射程
実務上、複数人の連名による鑑定書(精神鑑定やDNA鑑定等)は一般的であり、本判決はそのような証拠形式を肯定する。答案上は、鑑定書の形式的要件(321条4項)を検討する際に、共同作成であることが直ちに無効原因にならないことを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)1557 / 裁判年月日: 昭和27年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の供述は、相互に他の共同被告人の犯罪事実を認定するための補強証拠となることができる。 第1 事案の概要:被告人が、共同被告人の供述を補強証拠として自らの犯罪事実を認定した原判決に対し、共同被告人の供述には補強証拠としての適格がないこと、および伝聞証拠の証拠能力を認める規定が憲法の証人尋問…