判旨
併合審理中に適法に証拠調べが行われ、被告人及び弁護人が証拠同意した供述調書は、その後に事件が分離されたとしても、分離後の公判において改めて証拠調べを経ることなく証拠能力が維持される。
問題の所在(論点)
併合審理中に適法な証拠同意および証拠調べが行われた証拠について、事件が分離された後も、別個の証拠調べ手続を要することなく証拠として用いることができるか。
規範
刑事訴訟法に基づき、複数の被告事件が併合して審理されている際、一方の事件に関連する証拠について適法に証拠調べがなされ、かつ被告人及び弁護人が証拠とすることに同意(刑訴法326条1項)した場合には、当該証拠の証拠能力は確定する。その後に事件が分離されたとしても、併合審理中になされた適法な証拠調べの効果は失われない。
重要事実
被告人Bに対する本件被告事件は、第一審の審理途中で当時係属中であった別件の詐欺被告事件に併合された。併合審理中の公判期日において、検察官が請求した各供述調書について、被告人及び弁護人は証拠とすることに同意し、適法に証拠調べが行われた。その後、本件被告事件は右詐欺被告事件から分離されたが、分離後の審理において当該供述調書の証拠能力が争点となった。
あてはめ
本件における各供述調書は、記録によれば昭和25年9月4日の第12回公判期日(併合審理中)において、検察官の請求に基づき適法に証拠調べが完了している。また、その際被告人及び弁護人はこれに同意を与えている。したがって、当該証拠は既に適法な証拠能力を具備しており、分離後の公判調書に直接綴られていなくとも(別件の公判調書末尾に綴られていたとしても)、その証拠価値や手続的妥当性は維持されると解される。
結論
併合中に適法に証拠調べがなされた以上、分離後も当該証拠を用いることは適法であり、判例違反や違法な証拠採用には当たらない。
実務上の射程
併合・分離が繰り返される複雑な訴訟構造において、証拠調べの重複を避ける実務を肯定する。答案上は、刑訴法326条の同意の効果が分離後も持続するかという文脈で、手続の経済性と被告人の防御権のバランスの観点から引用可能である。
事件番号: 昭和26(あ)1557 / 裁判年月日: 昭和27年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の供述は、相互に他の共同被告人の犯罪事実を認定するための補強証拠となることができる。 第1 事案の概要:被告人が、共同被告人の供述を補強証拠として自らの犯罪事実を認定した原判決に対し、共同被告人の供述には補強証拠としての適格がないこと、および伝聞証拠の証拠能力を認める規定が憲法の証人尋問…
事件番号: 昭和25(あ)2456 / 裁判年月日: 昭和27年3月25日 / 結論: 棄却
一 判決の証拠説明において証拠能力のない書面を挙げていても、それが他の証拠能力のある供述書に引用せられており、その内容を補足する趣旨のものに過ぎないときは、違法ではない。 二 右の場合、供述書の証拠調の方法としては、これを朗読する外引用せられた書面を朗読すれば足り、これを示す必要はない。