判旨
共同被告人の供述は、相互に他の共同被告人の犯罪事実を認定するための補強証拠となることができる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法319条2項にいう「補強証拠」として、共同被告人の供述を用いることができるか。また、同法321条1項2号は憲法37条2項に違反しないか。
規範
共同被告人の供述は、相互に他の被告人の自白に対する補強証拠(刑訴法319条2項)となり得る。また、検察官面前調書等の伝聞証拠の証拠能力を認める刑訴法321条1項2号は、憲法37条2項に違反しない。
重要事実
被告人が、共同被告人の供述を補強証拠として自らの犯罪事実を認定した原判決に対し、共同被告人の供述には補強証拠としての適格がないこと、および伝聞証拠の証拠能力を認める規定が憲法の証人尋問権(憲法37条2項)に抵触すること等を理由として上告した事案。
あてはめ
最高裁は、先行する大法廷判決の趣旨を引用し、刑訴法321条1項2号の合憲性を肯定した。その上で、共同被告人の供述が相互に補強証拠となることは当裁判所の累次の判例が示すところであり、適法であると判断した。本件においても、原判決が共同被告人の供述を補強証拠として採用したことに、証拠法則上の誤りは認められない。
結論
共同被告人の供述は相互に補強証拠となるため、これに基づき犯罪事実を認定した原判決は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
自白の補強証拠の適格に関する重要判例である。実務上、共犯者の供述は「被告人の自白」には含まれないため、独立した証拠として補強証拠になり得ると解されている。答案では、補強法則の要否を検討する際、共犯者の供述に補強証拠適格を認める根拠として本判例(および引用される累次の判例)を援用する。
事件番号: 昭和26(あ)1668 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: 棄却
本件第一審判決が証拠として採用した検察官に対する被告人B及び同Cの供述調書中の記載を調べてみると被告人両名は各々所論麻薬を譲渡した事実を自白している。第一審判決はこれに加えるに、相被告人の検察官に対する供述調書中の記載等を補強証拠として採用し、これ等を綜合して判示の犯罪事実を認定したものである。このような場合には第一審…
事件番号: 昭和28(あ)806 / 裁判年月日: 昭和30年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の供述(検察官面前調書等)は、被告人の自白を補強する証拠となり得る。 第1 事案の概要:被告人Dが関与した取引に関し、第一審判決は共同被告人Aの検察官に対する供述調書を採用した。当該調書には、本件取引の物件が塩酸モルヒネ注射液130本であった旨が記載されていた。弁護人は、共犯者の供述を被告人…