判旨
共犯者の供述(検察官面前調書等)は、被告人の自白を補強する証拠となり得る。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法319条2項の「補強証拠」として、共同被告人の自白(供述調書)を用いることができるか。
規範
憲法38条3項及び刑事訴訟法319条2項にいう「補強証拠」は、被告人の自白の真実性を担保するに足りる証拠であれば足りる。共犯者の供述については、被告人と独立した第三者の証拠としての性質を有するため、被告人の自白に対する補強証拠となり得ると解される。
重要事実
被告人Dが関与した取引に関し、第一審判決は共同被告人Aの検察官に対する供述調書を採用した。当該調書には、本件取引の物件が塩酸モルヒネ注射液130本であった旨が記載されていた。弁護人は、共犯者の供述を被告人Dの自白の補強証拠とすることの適法性を争い上告した。
あてはめ
本件における共同被告人Aの検事に対する供述調書は、本件取引の具体的物件(塩酸モルヒネ注射液130本)を裏付ける内容である。この調書は被告人D自身の自白とは独立した証拠資料であり、自白の内容が虚偽でないことを客観的に裏付ける性質を有している。したがって、当該調書は被告人Dの自白の真実性を担保する補強証拠としての適格性を備えていると評価される。
結論
共同被告人の供述調書は、被告人の自白の補強証拠となる。したがって、これに基づき被告人を罪に問うことは適法である。
実務上の射程
共犯者の供述(公判外の供述を含む)に補強証拠能力を認める実務上の定説的判例である。答案上は、補強証拠の必要性の趣旨(誤判の防止)に遡り、共犯者の供述が被告人から独立した証拠であることを論拠として、補強証拠として許容されることを簡潔に述べる際に活用する。
事件番号: 昭和26(あ)1391 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: 棄却
所論の物件が麻薬たる塩酸モルヒネであつたかどうかの事実については自白だけで足り鑑定等の方法によつてこれを認定する必要はない。