判旨
罰金等臨時措置法の施行前と施行後では適用される罰金額の基準が異なるため、施行前の犯行に関する判例を施行後の事案に直接適用することはできない。
問題の所在(論点)
刑訴法405条2号の上告理由である「判例違反」について、罰金等臨時措置法施行前の判例を、施行後の犯行に援用できるか。
規範
罰金等臨時措置法の施行後に犯された罪については、同法に基づく罰金額の引き上げが適用される。したがって、同法施行前の旧法下の罰金額を前提とした判例は、施行後の事案における法的判断の先例としては適切ではない。
重要事実
被告人A、B、Cは、それぞれ特定の犯罪行為により起訴された。弁護人は、量刑または罰金額の決定に関し、過去の最高裁判例を引用して現判決が判例に違反している旨を主張し、上告を申し立てた。しかし、引用された判例は罰金等臨時措置法が施行される前の犯行に関するものであった。
あてはめ
弁護人が指摘する判例は、罰金等臨時措置法が施行される前の旧来の罰金額規定に基づいた犯行に関するものである。本件は同法施行後の犯行であり、適用される罰金額の基準が根本的に異なる。法改正により前提となる法状況が変化している以上、旧法下での判断を示す判例は本件の規範として適切ではない。その他の主張についても、刑訴法405条の上告理由に該当せず、職権調査によっても刑訴法411条を適用すべき事由は認められない。
結論
本件各上告を棄却する。法改正後の事案に、改正前の法を前提とする判例を援用しても判例違反の主張は成立しない。
実務上の射程
法改正(特に罰金額の引き上げ等の形式的変更)があった場合、旧法下の判例を「判例違反」の根拠として主張しても、前提条件の相違から否定されることを示す。上告趣意書の作成において、判例の前提となる実体法の新旧を確認する実務的留意点を示す事案である。
事件番号: 昭和25(あ)43 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意において判例違反を主張する場合には、刑訴規則253条に従い、違反とされる判例を具体的に示す必要があり、これがない場合は適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人両名の弁護人が上告を申し立て、上告趣意書において判例違反を主張した。しかし、当該趣意書には、具体的にどの判例(最高…
事件番号: 昭和25(あ)1406 / 裁判年月日: 昭和26年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、また同法411条の職権破棄事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告人Bが、下級審の判決に対して上告を申し立てた事案であるが、具体的な犯罪事実や公訴事実の詳細は本決定文からは不明である。弁護人が提出した…
事件番号: 昭和25(あ)1291 / 裁判年月日: 昭和26年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条の職権破棄事由も認められない場合、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意の内容に基づき、最高裁判所が上告理由の有無および職権破棄の必要性について検討した。…