判旨
公務員が行う職務が刑法上の「職務」に当たるためには、当該職務が法令上の根拠に基づくものであることを要する。京都府知事による適格工場の指定に係る事務は、法令上の根拠を有する公務員の職務に該当すると解される。
問題の所在(論点)
刑法上の公務員の「職務」の範囲と、法令上の根拠の要否、および知事による特定の行政上の指定事務がこれに該当するか。
規範
贈収賄罪や公務執行妨害罪等の客体となる公務員の「職務」とは、公務員がその職権に基づいて、またはその職務権限に関連して公的に遂行する事務を指す。この職務には、法令、条例、規則等の明文の規定に基づくものだけでなく、これらに基づく行政慣行や付随的事務であっても、法令上の根拠を有すると認められるものであれば含まれる。
重要事実
被告人は京都府の職員であり、京都府知事が管轄する工場等に対する「適格工場」の指定に関する事務に従事していた。弁護側は、当該指定事務が法令上の根拠を欠くものであるから、被告人の行為は公務員の「職務」に関するものとは言えないと主張して上告した。
あてはめ
本件における京都府知事のする適格工場の指定は、判決文によればその性質上、法令上の根拠を有するものである。したがって、これに関連する被告人の事務もまた、単なる事実上の便宜供与ではなく、法令に基づき公務員が遂行すべき職務権限の範囲内に属するものと評価される。
結論
被告人の本件職務は法令上の根拠を有する公務員の職務に該当し、刑法上の保護の対象となる。
実務上の射程
公務員の職務権限の有無が争点となる収賄罪等の事案において、具体的職務が法令上の根拠を有するかを認定する際の先例となる。実務上は、直接の根拠規定がなくとも、行政組織上の正当な権限行使の一環であれば「職務」性が認められる傾向にあることを示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)846 / 裁判年月日: 昭和27年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】収賄罪の成立要件である「職務」とは、公務員の一般的職務権限に属する事務を指し、地方自治法上の競争入札の要否が議会の同意に係るとされる場合、その手続に関与することは公務員の職務に該当する。また、犯情の差異に基づき共同被告人間で量刑に差を設けることは憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人A…