判旨
憲法25条の規定は、国の責務を宣言したものであり、個々の国民に具体的権利を付与したものではない。また、上告審において原審で主張されていない事項を主張することはできず、職権調査は裁判所の義務ではない。
問題の所在(論点)
1. 憲法25条が個々の国民に具体的な権利を付与するものか。 2. 原審で主張していない事項を上告審の理由とできるか。 3. 上告審において裁判所に職権調査の義務があるか。
規範
憲法25条は、国の責務としての生存権保障の趣旨を宣言したものであり、個々の国民に対し、直接かつ具体的な権利を付与するものではない。また、刑事訴訟法上の上告審において、原審で主張・判断されていない事項を新たに主張することは、適法な上告理由とはならない。加えて、裁判所による職権調査は義務ではない。
重要事実
被告人AおよびBが、生存権(憲法25条)の侵害や緊急避難の成立を主張して上告した事案。被告人らは原審において緊急避難等の特定の主張を行っておらず、また、量刑不当などを理由として最高裁判所に判断を求めた。
あてはめ
憲法25条違反の主張については、先行する大法廷判決の趣旨に照らし、同条が具体的な権利を付与するものではないため理由がない。緊急避難の主張については、原審において主張も判断もされていないため、上告理由として不適法である。また、職権調査は裁判所の義務に属さないため、これを行わなかったことが違憲であるとの主張は前提を欠く。
結論
本件各上告を棄却する。憲法25条違反、緊急避難、職権調査義務のいずれの主張も理由がない、または不適法である。
実務上の射程
生存権のプログラム規定説を補強する判例の一つとして機能する。また、刑事訴訟における上告審の構造(事後審的性格)を確認し、原審での主張の重要性を示す実務上の指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)3926 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に実刑が科せられることによりその家族が生活困難に陥るとしても、憲法25条の規定には違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により実刑判決を受けたのに対し、被告人側は、実刑を科せられることによってその家族が生活困難に陥ることは生存権を保障した憲法25条に違反するものであると主張して、上…