捜索差押調書は捜索差押許可状と共に提出しなければ証拠能力を欠くということはない。
捜索差押調書に対する証拠調の方式
刑訴法218条,刑訴法305条
判旨
捜索差押調書の証拠能力は、その前提となる捜索差押許可状と併せて提出されることを要件とするものではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、捜索差押調書を証拠として採用するためには、その前提となった捜索差押許可状を併せて提出することが証拠能力の発生要件となるか。
規範
捜索差押調書の証拠能力が認められるためには、刑事訴訟法上の証拠法原則(伝聞例外等)に従って適法に証拠調べが行われれば足り、その前提となった捜索差押許可状を同時に証拠として提出することは、証拠能力を基礎づける法的要件ではない。
重要事実
被告人の弁護人は、捜索差押の結果を記録した「捜索差押調書」について、その発付の根拠となった「捜索差押許可状」を併せて裁判所に提出しなければ、当該調書は証拠能力を欠くと主張して上告した。
あてはめ
弁護人は、許可状の不呈示が証拠能力を否定する憲法違反や訴訟法違反に当たると主張するが、これは独自の誤った見解に基づくものである。実定法上、捜索差押調書の証拠能力が許可状の同時提出に依存するとの規定は存在しない。したがって、許可状を提出せずとも、調書自体の適格性が認められる限り、証拠能力は否定されない。
事件番号: 昭和26(あ)3372 / 裁判年月日: 昭和27年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人が証拠調請求に対して異議なく同意し、かつ強制による供述であると疑うに足りる資料がない場合、供述調書の証拠能力は認められ、憲法38条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、司法警察員および検察事務官が作成した供述調書の証拠調請求に対し、異議なくこれに同意したことが第…
結論
捜索差押調書の証拠能力を認めるにあたり、捜索差押許可状を共に提出する必要はない。
実務上の射程
令状による強制捜査の結果を記した書面の証拠能力について、令状自体の存在確認や適法性の立証が実務上重要であっても、それが調書の証拠能力(伝聞例外要件等)の論理的前提として不可欠な「証拠提出上の義務」ではないことを示す。答案上は、令状呈示の有無や手続の適法性が争点となる場面で、調書の証拠能力を否定する論理として許可状の不呈示を直接結びつけることはできないことを確認する際に用いる。
事件番号: 昭和25(れ)1218 / 裁判年月日: 昭和25年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項の「公平な裁判所」とは組織や構成が中立的な裁判所を指し、同条2項は裁判所の証拠採否に関する裁量を妨げるものではない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において証拠調べの範囲や限度につき不当であると主張し、憲法37条1項および2項に違反するとして上告した事案。原審において特定の証拠調…
事件番号: 昭和27(あ)3790 / 裁判年月日: 昭和28年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自白のみを証拠として有罪とすることは憲法38条3項に抵触するが、被害者の盗難届等の自白以外の証拠が併存する場合には補強証拠が存在するものとして、同条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは窃盗等の罪に問われ、第一審において有罪判決を受けた。被告人らは自白をしていたが、弁護人は当該判決が…
事件番号: 昭和25(あ)2962 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
証拠書類と書面の意義が証拠となる証拠物とは、その書面の内容のみが証拠となるか又は書面そのものの存在又は状態等が証拠となるかによつて区別される。
事件番号: 昭和26(あ)952 / 裁判年月日: 昭和28年1月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白がある場合、相被告人の供述を当該被告人の自白に対する補強証拠とすることができる。これは憲法38条3項の趣旨に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人の自白が存在する刑事事件において、原判決が相被告人の供述を被告人の自白に対する補強証拠として採用し、有罪判決を下した。これに対し弁護…