判旨
勾留手続に不法があるとしても、それのみでは判決に対する上訴理由とはならず、また原審が勾留手続につき職権調査を行わなかったとしても違法とはいえない。
問題の所在(論点)
勾留手続に違法がある場合、または原審が勾留手続の適否を職権で調査しなかった場合、それが判決に対する上訴理由(刑訴法405条、379条等)となり得るか。
規範
勾留は被疑者・被告人の身体を拘束する裁判及びその執行手続であり、終局判決そのものとは別個の手続である。したがって、仮に勾留手続に不法な点があったとしても、そのことのみを理由として判決に対する上訴を申し立てることはできない。また、控訴審において勾留手続の適否を職権で調査しなかったとしても、訴訟手続の法令違反には当たらない。
重要事実
被告人は窃盗被疑事件で勾留され、その後の窃盗被告事件等の発生に伴い勾留が更新された。被告人側は、原審(控訴審)が勾留手続に関する重大な職権調査を怠った訴訟法違反があり、また勾留自体が違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、勾留手続は窃盗の被疑事実及び被告事件に基づき適法に更新されており、手続上の違法は認められない。仮に勾留手続に瑕疵があったとしても、判例の法理に照らせば、勾留の適否は判決の当否に直接影響を及ぼすものではないため、上訴理由として採用することはできない。また、原審が職権でこれを調査しなかったことも、職権調査義務の逸脱には当たらないと解される。
結論
勾留手続の違法や職権調査の欠如は上訴理由に当たらないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
身体拘束手続の違法を理由に有罪判決の取り消しを求める主張に対する拒絶根拠として機能する。違法な身体拘束については準抗告や勾留取消し等の個別の不服申立手段によるべきであり、判決に対する上訴の場面では、その違法が証拠収集に影響し、違法収集証拠排除法則を通じて判決に影響を及ぼすような特段の事情がない限り、独自の取消理由にはならないことを示唆している。
事件番号: 昭和27(あ)2162 / 裁判年月日: 昭和28年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における単なる訴訟法違反を上告理由とすることはできず、記録上明らかな事実誤認や証拠調手続の不備がない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が第一審の証拠調手続(供述調書の証拠採用等)に訴訟法違反があると主張して上告した事案。第一審判決では各供述調書が証拠として掲げられており、他の…
事件番号: 昭和25(あ)2121 / 裁判年月日: 昭和26年3月27日 / 結論: 棄却
所論の点はいずれも、原審において控訴趣意として主張されなかつた事項であり、また刑訴第三九二条二項は同条項所定の事由に関し控訴審に職権調査の義務を課したものではないから、原判決はこれらの点についてなんら判断を示していないのである。従つてこのような事項につき、単純に原判決の法令違反を主張することはもちろん、これを判例違反と…