判旨
公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は刑訴法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。本判決は、複数の罪が起訴された事案において、大赦の対象となった罪について免訴を認めつつ、他の罪については有罪を維持した。
問題の所在(論点)
上告審において公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所はどのような裁判を行うべきか。特に、大赦の対象となった事実について免訴事由(刑訴法337条3号)をどのように適用すべきかが問題となる。
規範
被告人に対する公訴事実について、判決確定前に大赦があったときは、刑事訴訟法337条3号により免訴の言渡しをすべきである。複数の公訴事実が存在する場合、大赦の対象となった事実については個別に免訴を言い渡す一方、それ以外の事実については適法な実体判決を行う必要がある。
重要事実
被告人は、昭和24年政令第389号違反(ポツダム宣言受諾に伴い発せられた命令に基づく違反)およびたばこ専売法違反の事実により公訴提起され、第一審および控訴審で有罪判決を受けた。しかし、上告審係属中の昭和27年に「平和条約の発効等に伴う大赦令(昭和27年政令第117号)」が公布・施行され、前記政令第389号違反の事実に係る罪が大赦の対象となった。
あてはめ
本件のうち、昭和24年政令第389号2条1項違反の事実については、昭和27年政令第117号による大赦があったことが認められる。したがって、刑訴法411条5号(刑の廃止、大赦等による判決後の変更)に基づき原判決及び第一審判決を破棄し、刑訴法337条3号により免訴を言い渡すべきである。他方、たばこ専売法違反の事実は大赦の対象ではないため、第一審が認定した事実に係る有罪部分については、同法所定の罰金刑等を適用して実体判決を維持するのが相当である。
結論
昭和24年政令第389号違反については免訴。大赦の対象外であるたばこ専売法違反については罰金千円に処し、証拠品を没収する。
事件番号: 昭和27(あ)5250 / 裁判年月日: 昭和28年4月3日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】連合国占領軍財産等収受所持禁止令違反の罪について、判決確定前に大赦令が公布された場合、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。また、窃盗罪については大赦の対象外であるため、刑法235条を適用して処断する。 第1 事案の概要:被告人は、窃盗罪および連合国占領軍財産等収受所持禁止令(昭…
実務上の射程
免訴(刑訴法337条)の典型的事由である「大赦」が生じた場合の処理を示した判例である。複数の罪が併合して起訴されている場合でも、大赦の効果は個別的に判断され、免訴事由がある部分のみが免訴の対象となることを実務上示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)3181 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は刑訴法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきであり、確定した他の罪があるときは別途刑を定めるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産であるラジオ真空管を所持したとして昭和24年政令第389号違反の罪に問われるとともに、窃盗罪でも起…
事件番号: 昭和28(あ)4078 / 裁判年月日: 昭和30年6月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】政令による大赦の対象範囲の制限は恩赦法2条に反せず有効であり、大赦の対象から除外された罪については免訴の言渡しをすることはできない。 第1 事案の概要:被告人は米国軍票所持罪に問われていたが、昭和27年政令117号1条83号本文によれば同罪は大赦の対象となり得るものであった。しかし、同号但書によっ…
事件番号: 昭和27(あ)1712 / 裁判年月日: 昭和28年3月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】食糧管理法違反の罪について、判決確定前に大赦があった場合には、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをすべきである。 第1 事案の概要:被告人は食糧管理法9条違反およびたばこ専売法違反の罪に問われ、第一審および原審で有罪判決を受けていた。しかし、上告審の継続中に、昭和27年政令第117号(大赦…