判旨
政令による大赦の対象範囲の制限は恩赦法2条に反せず有効であり、大赦の対象から除外された罪については免訴の言渡しをすることはできない。
問題の所在(論点)
恩赦法2条に基づき大赦の対象を定める政令において、特定の罪を除外する制限を設けることが許されるか。また、その制限に基づき免訴を認めない判断が適法か。
規範
恩赦法2条に基づく大赦の実施において、政令(昭和27年政令117号等)が特定の罪を対象から除外する但書を設けることは、同法の解釈として正当であり、憲法または法律に違反して無効となるものではない。
重要事実
被告人は米国軍票所持罪に問われていたが、昭和27年政令117号1条83号本文によれば同罪は大赦の対象となり得るものであった。しかし、同号但書によって特定の条件に該当する場合には大赦の対象から除外される旨が規定されていた。被告人側は、この但書規定が恩赦法2条に違反して無効であり、本来は免訴(刑訴法337条1号)とされるべきであると主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、原審の恩赦法2条の解釈を正当と認め、政令1条83号但書を無効と解すべき理由は全くないとした。すなわち、大赦の範囲を政令で画定する際に、一律に全ての罪を対象とするのではなく、特定の事由に基づき除外例を設けることは立法裁量の範囲内であり、適法なものと解される。本件において、当該但書規定により被告人の罪が大赦の対象外となる以上、免訴の要件を欠くこととなる。
結論
本件政令の但書規定は有効であり、これに基づき免訴の言渡しをなさなかった原判決に誤りはない。
実務上の射程
大赦の対象範囲を定める政令の有効性を肯定した判例であり、免訴(刑訴法337条1号)の成否が争われる場面で、恩赦の対象規定の解釈基準として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)3873 / 裁判年月日: 昭和29年7月19日 / 結論: 棄却
所論米国軍票所持の事実が大赦にかからないことは、昭和二七年政令一一七号大赦令一条八三号但書で明らかである。
事件番号: 昭和28(あ)3996 / 裁判年月日: 昭和35年3月16日 / 結論: 棄却
一 昭和二四年政令第三八九号(連合国占領軍財産等収受所持禁止令)第一条は、憲法第二九条に違反しない。 二 右昭和二四政令第三八九号は、憲法第三一条に違反しない。 三 所論は、昭和二四年政令第三八九号(連合国占領軍財産等収受所持禁止令)を廃止すると共に、「この法律の施行前にした所為に対する罰則の適用については、なお従前の…
事件番号: 昭和27(あ)2551 / 裁判年月日: 昭和27年11月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は刑訴法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。本判決は、複数の罪が起訴された事案において、大赦の対象となった罪について免訴を認めつつ、他の罪については有罪を維持した。 第1 事案の概要:被告人は、昭和24年政令第389号違反(ポツダム宣…
事件番号: 昭和27(あ)1186 / 裁判年月日: 昭和28年7月18日 / 結論: 棄却
所論は、昭和二四年政令第三八九号1条の規定は、いわゆるポツダム勅令による委任の範囲即ち昭和二〇年勅令五四二号にいう「聯合国最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項」を逸脱した無効の法令であり、これを適用した原判決は憲法三一条に違反すると主張し、右政令第三八九号一条にいう「収受」「所持」なる意義につき独自の解決をして、原判決の説示…
事件番号: 昭和26(あ)3181 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は刑訴法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきであり、確定した他の罪があるときは別途刑を定めるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産であるラジオ真空管を所持したとして昭和24年政令第389号違反の罪に問われるとともに、窃盗罪でも起…