判旨
刑事訴訟法における控訴審の性格が、第一審判決の当否を事後的に審査する「事後審」として定められていることは、憲法に違反せず合憲である。
問題の所在(論点)
現行刑事訴訟法が控訴審を「事後審」として規定していることが、憲法に違反し、無効となるか。
規範
現行の刑事訴訟法において、控訴審を事後審として設計し、その審査範囲や手続を定めることは立法の裁量に属し、特段の事情がない限り憲法に違反するものではない。
重要事実
被告人が控訴審判決に対し、憲法違反等を理由として上告を申し立てた事案。弁護人は上告趣意において、現行刑事訴訟法の下での控訴審に関する規定は違憲であり無効である旨を主張した。具体的には、控訴審を事後審と定めた立法のあり方そのものを憲法違反として非難する内容であった。
あてはめ
弁護人の主張は、控訴審を事後審と定めた立法そのものを非難するものであるが、具体的な憲法の条文を示しておらず不適法である。また、事後審構造の採用は立法の合理的な裁量の範囲内であり、被告人の裁判を受ける権利等を侵害するものとは認められない。記録に照らしても、職権で判決を取り消すべき事由(刑訴法411条)は存在しない。
結論
控訴審を事後審とする現行刑事訴訟法の規定は憲法に違反せず、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟における控訴審の「事後審」的性格を前提とする判例であり、控訴審における事実誤認の審査のあり方(刑訴法382条)や、新証拠の取り調べ制限(刑訴法382条の2)などの合憲性を基礎づける際に、立法の合理性を補強する論拠として機能する。
事件番号: 昭和40(あ)2102 / 裁判年月日: 昭和41年7月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において主張せず、原判決が判断していない事項についての上告理由(判例違反の主張)は、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が第一審判決における二つの罪の成否について、それらが併合罪(刑法45条)となるか、あるいは包括一罪となるかという点について争った事案。被告人側は上告審にお…