被告人が所論の如く店舗を有しなかつたからといつて、その一事により被告人が独立の医薬品販売業者といえないものでないことは、薬事法二九条の規定に徴し明らかである。
医薬品販売業者たることと店舗の要否。
薬事法29条
判旨
薬事法(昭和23年法律第197号)29条の規定に鑑み、店舗を有しないからといって直ちに独立の医薬品販売業者に該当しないとはいえず、無店舗であっても医薬品販売業の主体となり得る。
問題の所在(論点)
薬事法上の「医薬品販売業者」として認められるために、店舗の存在が必須の要件となるか。
規範
医薬品販売業者の該当性判断において、現実に店舗を有していることは、独立の販売業者として認められるための不可欠な要件ではない。
重要事実
被告人は、医薬品の販売を行っていたが、営業のための実体的な店舗を有していなかった。弁護人は、店舗を有しない以上は被告人を独立の医薬品販売業者とみることはできず、その前提となる事実認定には誤りがある(法令違反がある)と主張して上告した。
あてはめ
薬事法29条(当時の規定)の趣旨に照らせば、販売業の許可や規制の対象は必ずしも物理的な店舗の有無のみに依存するものではない。したがって、被告人が店舗を有していなかったという一事をもって、直ちに独立の医薬品販売業者であることを否定することはできず、実態に基づき販売業者性を肯定し得る。
結論
被告人が店舗を有しないことを理由に独立の販売業者性を否定する主張は採用できず、上告を棄却する。
実務上の射程
無許可医薬品販売等の事案において、店舗を持たない「置き薬」等の形態や移動販売であっても、販売業としての実態があれば規制対象となることを裏付ける。もっとも、現行薬事法(薬機法)下では許可の種類や要件が詳細に規定されているため、本判決の直接の射程は、店舗の存否という形式的要素のみで業態を限定できないという解釈指針に留まる。
事件番号: 昭和27(あ)5017 / 裁判年月日: 昭和28年7月30日 / 結論: 棄却
一 仮りに、被告人の物価統制令違反の基礎となる統制額に取引高税を加算しなかつたことが違法であるとしても、被告人等の販売額が取引高税を加算した額を著しく超過したものであること判示に照し明白であるから、右の違法は判決に影響を及ぼしたことが明白であるとはいえない。 二 物品税法二条は、本件物品の販売条件として、その統制額に加…
事件番号: 昭和41(あ)948 / 裁判年月日: 昭和41年12月23日 / 結論: 棄却
本件のように需要に比して供給数量の僅少な医薬品(ストレプトマイシン、ヂヒドロストレプトマイシン)の取引について、法による統制を加え、これに違反する者を処罰することが憲法第二五条の趣旨に反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二五年(あ)第二一〇六号同二六年一二月五日大法廷判決・刑集五巻一三号二四七一頁、同二三年(れ…