薬事法四四条七号にいわゆる同四一条七号に掲げる医薬品とは、厚生大臣の指定するアミノフエニルスルフアミド若しくはその誘導体ペニシリン、ストレプトマイシン又はこれらの製剤その他の医薬品をいい、その標示に医師、歯科医師又は獣医師の処方せん又はその指示によつて使用すべきである旨の注意の記載の有無を問わない。
薬事法四四条七号にいわゆる同四一条七号に掲げる医薬品の意義
薬事法44条7号,薬事法41条7号
判旨
薬事法(昭和28年当時)において、指定された医薬品に該当するか否かは、厚生大臣の指定という客観的性質によって定まり、実際の標示における注意記載の有無に左右されない。
問題の所在(論点)
薬事法44条7号にいう「同41条7号に掲げる医薬品」の意義について、単に厚生大臣が指定した種類の薬品であれば足りるのか、それとも標示に特定の注意記載(処方せん医薬品である旨)がなされていることを要するのか。
規範
薬事法44条7号(現行法下の類似規定等に相当)にいう「41条7号に掲げる医薬品」とは、厚生大臣が指定するアミノフェニルスルファミド、その誘導体、ペニシリン、ストレプトマイシン等の特定の医薬品自体を指す。したがって、その該当性は客観的な物質の属性によって決まり、容器等に「処方せんによって使用すべき」旨の注意記載が実際になされているか否かという表示形式の有無を問わない。
重要事実
被告人が、薬事法に基づき厚生大臣が指定する特定の医薬品(ペニシリン等)を扱った際、当該医薬品の標示に「医師、歯科医師、又は獣医師の処方せん又はその指示によつて使用すべきである」旨の注意の記載がなかった。被告人側は、このような表示上の注意記載がない以上、法44条7号(当時)の罰則規定の対象となる医薬品には該当しないと主張して争った。
あてはめ
本件における対象物は、厚生大臣が指定するペニシリン等の製剤であった。法が特定の医薬品を指定している趣旨は、その物質自体の危険性や管理の必要性に着目したものである。そうである以上、たとえ実際の容器等の標示に処方せんによるべき旨の注意書きが欠けていたとしても、当該物質が厚生大臣の指定した医薬品であるという客観的事実に変わりはない。したがって、表示の有無にかかわらず法41条7号所定の医薬品に該当すると評価される。
結論
薬事法上の指定医薬品の該当性は標示の有無を問わないため、原判決の判断は相当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
行政取締法規における「対象物の定義」が、客観的な指定(物質の属性)によるのか、それとも表示等の形式的要件を含むのかが争点となる場面で活用できる。表示義務違反があること(表示がないこと)をもって、直ちに対象物そのものへの該当性を否定することはできないという論理を示す際に有用である。
事件番号: 昭和27(あ)3492 / 裁判年月日: 昭和28年10月16日 / 結論: 棄却
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