一 薬事法第二四条第一項にいう「業として、医薬品を販売し」とは、反覆継続して医薬品を不特定又は多数の者に対して為す意思の下に有償譲渡する行為があれば足り、その販売の回数の多少又は店舗の開設の有無等を問わない。 二 同条項にいう「貯蔵し」とは、一般観覧に供することなくある場所に継続して存置し所持する行為をいうものと解すべきである。
一 薬事法第二四条第一項にいう「業として、医薬品を販売し」の意義 二 同条項にいう「貯蔵し」の意義
薬事法24条1項
判旨
薬事法における「業として販売」するとは、反復継続して不特定又は多数の者に対し有償譲渡する意思があれば足り、回数や店舗の有無を問わない。また、「貯蔵」とは一般の観覧に供さずある場所に継続して存置し所持する行為を指す。
問題の所在(論点)
薬事法(現・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)24条1項における「業として販売」すること、および「貯蔵」することの意義・定義が問題となった。
規範
1. 薬事法(現・薬機法)24条1項にいう「業として、医薬品を販売」するとは、反復継続して医薬品を不特定又は多数の者に対してなす意思の下に有償譲渡する行為をいい、販売回数の多少や店舗開設の有無は問わない。2. 同条項の「貯蔵」とは、一般の観覧に供することなくある場所に継続して存置し所持する行為を指す。
重要事実
被告人が、薬事法に基づく許可を受けることなく、医薬品を販売し、また販売の目的で医薬品を保管していた事案。具体的な販売回数や販売期間、保管していた薬品の種類や数量等の詳細は、本判決文(決定文)の記載からは不明であるが、被告人はこれらが「業として」の販売や「貯蔵」に該当しないと主張して上告した。
あてはめ
1. 販路の態様について、被告人が「反復継続」の意思を持って不特定多数に有償譲渡しようとしていたのであれば、たとえ実際の販売回数が少なく、店舗を構えていなかったとしても、「業として販売」したと評価される。2. 保管の態様について、薬品を一般客の目に触れる陳列状態に置くのではなく、特定の場所に引き続いて置いていたのであれば、それは「貯蔵」に該当すると評価される。
結論
被告人の行為は、業としての医薬品販売罪および販売目的貯蔵罪に該当する。本件上告は棄却される。
実務上の射程
行政刑法における「業として」の意義を、主観的な「反復継続の意思」と客観的な「不特定多数性」から定義した重要な基準である。店舗の有無を要件としないことから、無店舗販売やネット販売(現代的視点)にも広く射程が及ぶ。また、「貯蔵」と「陳列」を区別する際の基準として、一般の観覧に供されているか否かという判別指標を示している。
事件番号: 昭和26(れ)2495 / 裁判年月日: 昭和27年8月29日 / 結論: その他
たとえ医薬品の販売行為は一回であつても、それが業としてなされたものと認められる場合は、旧薬事法二三条一項に違反するものというべきである。
事件番号: 昭和27(あ)1799 / 裁判年月日: 昭和28年10月28日 / 結論: 棄却
被告人が所論の如く店舗を有しなかつたからといつて、その一事により被告人が独立の医薬品販売業者といえないものでないことは、薬事法二九条の規定に徴し明らかである。