判旨
所持罪のような継続犯において、不法所持の行為が法改正を跨いで継続した場合には、新法のみが適用される。
問題の所在(論点)
不法所持罪のような継続犯において、その行為が旧法と新法の両期間に跨って継続した場合に、いずれの法律が適用されるべきか(法の適用範囲)。
規範
所持罪は犯罪状態が継続することによって成立する継続犯である。継続犯の行為が旧法の施行中に開始され、新法の施行後まで継続した場合には、その行為全体に対して新法が適用される。
重要事実
被告人は、特定の物品(判決文からは物品名は不明だが文脈から不法所持の対象物)を所持していた。この所持行為は旧法の施行中から開始され、法改正を経て新法の施行後まで継続していた。被告人側は、旧法下での行為を含めて新法を適用することの違法性等を主張して上告した。
あてはめ
本件の所持罪は、一定の期間にわたり不法な状態を維持する継続犯としての性質を有する。本件における不法所持の事実は、新旧両法が入れ替わる時期を跨いで継続していた。このような場合、犯罪行為が完了した時点の法律、すなわち新法の施行時にも依然として犯罪行為が継続している以上、その全体について新法を適用すべきである。したがって、原判決が新法を適用したことに法令違反の過誤はない。
結論
不法所持が新旧両法に跨って継続するときは、新法のみが適用されるのが当然である。
実務上の射程
継続犯における随時犯(状態犯)との区別および新法の適用時期に関する基礎的判例である。事後法の禁止(刑罰不遡及の原則)との関係では、新法施行後の行為も構成要件の一部をなしているため、全体に新法を適用しても遡及処罰には当たらないと解する。答案上は、法改正があった場合の処断刑の決定や、共犯の成否、公訴時効の起算点などの議論において、継続犯の性質を論拠とする際に引用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2311 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 棄却
物の所持の継続中あらたにその物の所持を禁止する刑罰法規が施行せられた場合においては、その施行後継続せられる所持に対しては法令上特にその適用を除外する明文の存しない限りその新法規が適用せられる。
事件番号: 昭和26(あ)4536 / 裁判年月日: 昭和27年9月25日 / 結論: 棄却
所持罪のような継続犯については、一個の罪が成立しその継続中、たといその刑罰法規に変更があつても、刑法六条による新旧両法対照の問題はおこらず、常に新法を適用処断するを相当とする。