常習として麻薬取締法(昭和二八年法律第一四号により改正されたもの)施行前から施行後まで引き続き塩酸ジアセチルモルヒネの譲り受け等をした所為には、同法第六七条第一項を適用すべきである。
常習として麻薬取締法(昭和二八年法律第一四号により改正されたもの)施行の前後に跨つてなされた麻薬の譲り受け等をした所為に対する法令の適用
麻薬取締法(昭和28年法律第14号により改正されたもの)67条,麻薬取締法(昭和28年法律第14号により改正されたもの)66条,麻薬取締法(昭和28年法律第14号により改正されたもの)64条,麻薬取締法(昭和28年法律第14号により改正されたもの)12条1項,麻薬取締法(昭和23年法律第123号)4条3号,麻薬取締法(昭和23年法律第123号)57条
判旨
常習として行われる犯罪行為の継続中に新法が施行された場合、その包括一罪となる全犯行に対し、事後法の禁止に抵触することなく新法を適用することができる。
問題の所在(論点)
常習犯として包括一罪を構成する一連の行為が、新旧両法の施行時期にまたがって行われた場合、犯行開始時に施行されていなかった新法を全行為に対して適用することは許されるか(法律の不遡及・事後法の禁止の適用の有無)。
規範
常習犯のような包括一罪とされる犯罪において、その行為が継続している間に法律の改正があった場合、行為全体に対してその終了時に施行されている新法を適用することは、憲法39条の遡及処罰禁止の原則に反しない。
重要事実
被告人は、昭和27年10月頃から昭和29年2月中旬頃までの間、15回にわたり営利目的かつ常習としてヘロインの譲り受け、譲り渡し、交付、所持を行った。この犯行継続中の期間に、新たな麻薬取締法が施行された。
あてはめ
被告人の所為は、法定の除外事由なく営利の目的をもって常習としてなされた一連の行為であり、包括的に一個の犯罪を構成する。この犯行が継続している間に新麻薬取締法が施行された以上、その終了時における法状況に従い、包括一罪の一部を構成する新法施行前の事実を含めて新法を適用することは、当然の法解釈として認められる。
結論
犯行継続中に施行された新法の相当法条を適用することは合憲であり、被告人に対し新麻薬取締法を適用した原判決は正当である。
実務上の射程
集合犯や継続犯など、包括一罪とされる類型において、法改正を跨ぐ事案での適用法の決定基準(行為終了時法主義)を示す。憲法39条の問題として論じられる際の有力な根拠となる。
事件番号: 昭和27(あ)1718 / 裁判年月日: 昭和29年1月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】新法施行前に開始された継続的な行為であっても、新法施行後の行為が独立して処罰対象となる場合には、事後法の禁止(憲法39条前段)に抵触しない。 第1 事案の概要:被告人は、麻薬取締法の施行前から麻薬類を所持していた。検察側は、同法施行後の昭和24年4月中旬当時における麻薬類の所持を犯罪事実として起訴…