判旨
関税法違反の正犯者が所有・占有する密輸出貨物の換価代金、及び密輸出を幇助した者が所有する犯罪供用物件としての漁船は、同法83条1項に基づき没収することができる。
問題の所在(論点)
正犯者の占有に属する密輸出貨物の換価代金、および幇助者の所有に属する犯罪供用物件(漁船)について、関税法83条1項を適用して没収することができるか。
規範
関税法83条1項に基づく没収の要件として、没収対象となる物件が密輸出等の犯罪行為に供された物であること、または当該犯罪行為によって得た物等であることを要し、かつ、当該物件が犯人(正犯・共犯・幇助犯を含む)の所有または占有に属している必要がある。
重要事実
被告人Cは貨物を密輸出し、被告人B及びAは漁船D丸を使用してCによる貨物の密輸出を幇助した。被告人Cが占有していた密輸出貨物は既に処分され換価代金(665円)となっており、また密輸出の用に供された漁船D丸は、幇助者である被告人Bの所有に属していた。
あてはめ
密輸出貨物については、正犯者Cの占有に属するものが換価された代金であるため、同法83条1項によりCから没収することができる。また、漁船D丸については、本件密輸出という犯罪の用に供された物件であり、かつ、その幇助者である被告人Bの所有に属するものであるため、同条同項によりBから没収することが認められる。
結論
正犯者から密輸出貨物の換価代金を、幇助者から密輸出に供した所有漁船を、それぞれ関税法83条1項に基づき没収することができる。
実務上の射程
本判決は、関税法における没収の対象が正犯のみならず、幇助犯の所有物にも及ぶことを明確にしている。答案上、犯罪供用物件の没収を論じる際、所有主体が共犯者(幇助犯含む)である場合でも、同条の要件を充足すれば没収が可能であるとする根拠として活用できる。
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