判旨
公務執行妨害罪の成立には、行為者が、相手方が公務員であり、かつ、公務を執行中であることを認識している必要がある。本判決は、捜索押収令状を携行した税務官吏による公務執行を知りながら暴行を加えた場合、同罪の主観的要件を満たすと判断した。
問題の所在(論点)
公務執行妨害罪の成立において、行為者が相手方の公務執行の事実を認識している必要があるか、及びその認識の程度が問題となる。
規範
公務執行妨害罪(刑法95条1項)の成立には、客体が「公務員」であること、及びその者が「職務を執行するに当たり」暴行又は脅迫を加えるという客観的事実の認識(故意)を要する。具体的には、相手方が公務員であること、及び、その公務員が公務を執行中であることを行為者が認識していることが必要である。
重要事実
被告人らは、大蔵事務官Aらが捜索押収令状を携行し、酒密造の検挙という公務を執行しようとしていることを認識していた。それにもかかわらず、被告人らはAらに対して暴行を加え、その公務の執行を妨害するとともに、差押物件に施された封印を無効化(毀損)させた。
あてはめ
被告人らは、Aらが捜索押収令状を所持して密造酒の検挙にあたっているという、具体的かつ具体的な公務の内容を「知りながら」暴行に及んでいる。これは、公務執行妨害罪における「職務を執行するに当たり」という状況の認識を明確に備えているといえる。また、その暴行の結果として公務の執行が妨げられていることから、同罪の構成要件をすべて充足すると解される。
結論
被告人らには公務執行妨害罪が成立する。
実務上の射程
公務執行妨害罪における故意(職務執行性の認識)を肯定するための事実認定の在り方を示す。答案上は、令状提示の有無や公務員側の身分呈示状況などの具体的事実から、被告人が「公務執行中であること」を認識していたと認定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)5496 / 裁判年月日: 昭和31年8月21日 / 結論: 棄却
団体等規正令により解散を命ぜられた団体の財産接収に従事する公務員が、解散団体の事務所に同団体所有の机と区別せずに並べられてあつたため、第三者所有の机を同団体の所有物と認めて封印した場合において、これを損壊しまたは無効ならしめたときは封印破毀罪が成立する。
事件番号: 昭和26(れ)242 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
濁酒の醸造量はその仕込原料よりも減少することが経験則に合致する。