濁酒の醸造量はその仕込原料よりも減少することが経験則に合致する。
濁酒の醸造量と仕込原料の総量に関する経験則
酒税法(昭和24年法律43号による改正前)60条1項,酒税法(昭和24年法律43号による改正前)60条2項,旧刑訴法336条
判旨
公務員による酒税法違反被疑事件の捜査に対し、暴行を加えてその職務執行を妨害する行為は、公務執行妨害罪(刑法95条1項)を構成する。また、製造された酒類のアルコール含有量の認定において、任意の一部を抽出して全体を推断する鑑定方法は適法である。
問題の所在(論点)
1. 公務員の捜査活動に対して暴行を加えた行為が公務執行妨害罪を構成するか。 2. 製造された酒類の一部から全体を推断する鑑定方法に証拠能力または証明力の問題があるか。
規範
公務執行妨害罪(刑法95条1項)の成立には、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えることを要する。本罪の保護法益は公務そのものの円滑な遂行であり、捜査活動を妨害する目的でなされた暴行は本罪の構成要件に該当する。また、証拠法則上、一部の抽出物件に基づき全体の性質を推断する鑑定手法は、特段の事情がない限り合理的な証拠資料となり得る。
重要事実
被告人Aは、公務員らが酒税法違反被疑事件の捜査に従事していた際、その職務の執行を妨げる意図をもって暴行を加えた。さらに被告人らは、無免許で濁酒および焼酎を製造した(酒税法違反)。この製造事案において、鑑定人は製造された酒類の任意の一部を抽出してアルコール含有量を検出し、その結果から全体の含有量を推断した。被告人側は、公務執行妨害の成否や、鑑定方法の不備に基づく事実誤認等を主張して上告した。
事件番号: 昭和27(あ)2966 / 裁判年月日: 昭和28年10月2日 / 結論: 棄却
刑法第九五条は公務員を特別に保護する規定ではなく、公務員によつて執行される公務を保護するものである。
あてはめ
公務執行妨害について、被告人Aは公務員による酒税法違反の捜査という具体的な公務の執行に対し、これを妨害する目的で暴行を加えたことが認められる。これは刑法95条1項の「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行」を加えた場合に直接該当する。また、鑑定については、抽出された一部の成分から全体の性質を推断することは科学的・経験則的に妥当な手法であり、その鑑定結果を証拠として事実を認定した原審の判断に違法はない。酒類の醸造量についても、原料総量より減少するという経験則に照らし、合理的に認定されている。
結論
被告人らの行為は公務執行妨害罪および酒税法違反罪を構成する。また、本件鑑定手法に基づく事実認定も適法であり、上告は棄却される。
実務上の射程
公務執行妨害罪の成否において、職務の適法性を前提とした上で、暴行と職務執行の関連性を認定する際の基本例となる。また、証拠法上、鑑定において全数調査が不可能な場合の抽出調査(推断)の許容性を示す。答案では、暴行が「職務の執行」に向けられたものであることを簡潔に述べる際の根拠となる。
事件番号: 昭和25(あ)2065 / 裁判年月日: 昭和26年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、被告人の上告について、刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用して職権で判決を破棄すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決(下級審の有罪判決等)を不服として上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書に基づき、…
事件番号: 昭和26(れ)2336 / 裁判年月日: 昭和27年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない訴訟法違背の主張のみがなされた場合であっても、職権調査の結果として同法411条を適用すべき特段の事由が認められない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:弁護人が、原審判決に訴訟手続上の違法があるとして上告を申し立てた。上告趣意の内容は、訴訟法違背を主張…
事件番号: 昭和24(れ)1953 / 裁判年月日: 昭和25年1月24日 / 結論: 棄却
被告人Aは同人の居宅を訪れ屋内を捜索中の米子税務署勤務大藏事務官B同税務署雇Cに對し、捜索に來た税務官吏であることは推察しながら、右Cの腕をつかんで同家の土間に引つぱり下したり、B事務官が木桶に封印するのを邪魔しようとしたりして、暴力を加えその圓滿な職務の執行を妨げたというのである。右のCは所論のように單獨だつたのでは…