判旨
判決における共謀の事実は、判決書末尾の犯罪一覧表等に共犯者の氏名が明瞭に記載されていれば、特定に欠けるところはなく適法である。また、判示された事実が起訴状および追起訴状の範囲内にあれば、不告不理の原則に反しない。
問題の所在(論点)
1.判決における共謀の事実の特定は、共犯者氏名の別表引用により可能か。2.判決が当初の起訴状および追起訴状の範囲内で行われたといえるか(不告不理の原則)。
規範
判決における犯罪事実の摘示は、被告人の防御および上訴審の審査に支障を来さない程度に特定される必要がある。共謀共同正犯の場合、共犯者の氏名が別表等により具体的に示されていれば、共謀の事実は特定されたものと解する。また、審判の対象は公訴事実に拘束されるため、判決が起訴状(および追起訴状)記載の事実に包含される範囲内で行われる限り、不告不理の原則に抵触しない。
重要事実
被告人は14回にわたる窃盗の罪に問われた。原判決は「犯罪一覧表下欄記載の者と共謀し」と判示したが、弁護人は共謀の事実が不明確であると主張した。また、原判決の判示事実が、当初の起訴状および追起訴状の範囲を超えて審判されているのではないかという不告不理違反が問題となった。
あてはめ
1.原判決には「末尾添附犯罪一覧表下欄記載の者と共謀し」との判示があり、当該一覧表の「共犯者氏名」欄には14回それぞれの犯罪事実ごとに共犯者氏名が明瞭に記載されていた。したがって、共謀事実は特定されており不明な点はない。2.犯罪一覧表のうち「二、三」の事実は起訴状に、「その余の事実全部」は追起訴状にそれぞれ包含されている。よって、審判の請求を受けていない事件について判決した違法は認められない。
結論
本件共謀の事実は特定されており、かつ判決事実は起訴の範囲内に留まるため、原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
共謀共同正犯の事実摘示において、別表等を用いて共犯者を特定する手法が実務上許容されることを示した判例である。答案上は、罪状認否や訴因の特定が問題となる場面で、どのような記載があれば「事実が特定された」といえるかの判断基準として援用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1435 / 裁判年月日: 昭和26年3月15日 / 結論: 棄却
一 所論の書類は、何れも上申書であつて旧刑訴第三四〇条にいわゆる証拠書類には当らないばかりでなく、たとえ証拠書類であるとしても公判廷で被告人の弁護機関である弁護人が提出し、裁判所及び検察官の閲覧を経た証拠書類については特に必要のある場合を除くの外、必ずしもこれを被告人に読み聞かせ又は示してその意見、弁解を求める必要のな…