判旨
公判調書に記載された次回の判決言渡期日と実際の言渡日が異なる場合であっても、記録上の明白な誤記と認められ、当事者が異議なく出頭して宣告を受けたときは、判決言渡の適法性は失われない。
問題の所在(論点)
公判調書に記載された判決宣告期日と、実際に判決が言い渡された日付が食い違っている場合、当該判決の言渡手続に違法があるか。公判調書の誤記の許容範囲が問題となる。
規範
公判調書の記載に誤記がある場合であっても、他の公判調書の記載や当事者の出頭状況、異議の有無等の諸事情に照らして、その誤記が明白であると認められるときは、当該誤記を理由に訴訟手続の違法を問うことはできない。
重要事実
原審の第2回公判調書には、判決宣告期日を「12月22日」とする旨の記載があった。しかし、実際の判決言渡が行われた第3回公判調書には、開廷日が「12月23日」と記載されていた。この第3回公判には被告人および弁護人がともに出頭し、判決の言渡しを受けており、期日の変更等について別段異議を述べた形跡も認められなかった。
あてはめ
第2回公判において、被告人と弁護人は12月22日の判決宣告を告知されていたが、実際には翌23日に判決が言い渡されている。これに対し、被告人らはいずれも出頭しており、かつ期日の相違について何ら異議を述べていない。この状況からすれば、第2回公判調書に記載された「22日」という日付は、客観的に見て「23日」の誤記であることが明白であると評価できる。
結論
判決宣告期日の記載は明白な誤記にすぎず、原審の判決言渡手続に違法はない。
実務上の射程
刑事訴訟法上の公判調書の証明力(41条等)に関連し、形式的な記載の不一致があっても、記録全体から明白な誤記と判断できる場合には、手続の有効性が維持されることを示す。実務上、期日の取り違えや単純な日付の誤りによる控訴・上告理由を排斥する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)385 / 裁判年月日: 昭和27年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決における証拠の引用に単純な表示上の誤りがあるとしても、その誤りが記録に照らして明白である場合には、判決の効力に影響を及ぼすような違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人が上告した事案において、第一審判決が証拠として引用した検察事務官に対する供述調書の回数につき、本来「第二、三回」と記載すべ…