判旨
刑事裁判の判決において、原判決が掲げる証拠の標目と判示事実を対照し、証拠と事実の関連性を十分に了解できる場合は、理由不備等の違法は認められない。
問題の所在(論点)
判決において、掲げられた証拠の標目と認定事実の間の関連性がどの程度示されていれば、理由のくい違いや理由不備の違法がないといえるか(証拠と事実の関連性を示す程度の要否)。
規範
判決書において、原判決が掲げる証拠の標目を判示事実と対照した際に、どの証拠によってどの事実を認定したかという関連性を十分に了解できるのであれば、事実認定における論理的関連性の提示として必要十分である。
重要事実
被告人が原判決の事実認定に不服を申し立て、事実誤認および法令違反を理由として上告した事案。弁護人は、証拠と認定事実の関連性が不明確である旨を主張したが、記録上、原判決には具体的な証拠の標目が掲げられていた。
あてはめ
原判決に掲げられた証拠の標目を、判示された各事実と照らし合わせて検討すると、どの証拠がどの事実の認定に用いられたのかを十分に把握することが可能である。また、これらの証拠を仔細に検討すれば、原判決が示した各犯罪事実を優に認定することができる。したがって、証拠と事実の結びつきに不明な点はなく、法令違反や事実誤認は認められない。
結論
原判決に法令違反や事実誤認は認められず、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の理由不備(335条1項違反)や事実誤認の主張に対する反論として、証拠の標目と事実の対応関係が客観的に理解可能であれば足りることを示す際に活用できる。事実認定の説得力を論述する際の形式的要件の基準となる。
事件番号: 昭和26(あ)4015 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項が要求する自白の補強証拠は、犯罪事実の全部にわたって存在することを要するものではなく、自白の真実性を保障し得る証拠があれば足りる。 第1 事案の概要:被告人が自白をしている刑事事件において、第一審判決が有罪を宣告した。弁護人は、第一審判決には被告人の自白を裏付ける補強証拠が不足してお…