判旨
業務上横領罪における領得金額の認定について、原判決の証拠の取捨選択および証明力の判断に違法はなく、判示事実を認めるに足りるとした事例である。
問題の所在(論点)
刑法253条の業務上横領罪における横領金額の認定にあたり、原判決の証拠の取捨選択および証明力の判断(採証法則)に違法があるか、またそれが上告理由となるかが問題となった。
規範
事実認定における証拠の取捨選択および証拠の証明力の判断は、原則として事実審裁判所の専権に属し、その判断が経験則や論理法則に反しない限り、適法なものとして是認される。
重要事実
被告人が業務上横領罪に問われた事案において、第一審および控訴審は、提出された証拠に基づき横領金額を含む犯罪事実を認定した。これに対し弁護人は、原判決の採証法則違反、事実誤認、および量刑不当を理由として上告を申し立てた。
あてはめ
最高裁は、原判決が是認した第一審判決の挙示証拠と判示事実を照合した。その結果、判示事実は証拠により十分に認められ、特に横領金額の認定についても証拠の取捨判断に違法はなく、証明力の判断も不当ではないと判断した。したがって、採証法則違反を前提とする判例違反の主張は理由がないとされた。
結論
本件上告には刑事訴訟法405条所定の上告理由(判例違反等)は認められず、また同法411条を適用すべき事由(著しい事実誤認等)も認められないため、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、業務上横領罪の具体的な金額認定に関する事実認定の適法性を確認したものである。司法試験の答案作成においては、事実認定の違法を主張する際に、単なる事実誤認の主張にとどまらず、採証法則違反や論理法則・経験則違反の有無という規範的評価の枠組みで論じる際の参考となる。
事件番号: 昭和25(あ)1859 / 裁判年月日: 昭和27年10月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審判決が認定した費消金額の合計が、起訴状に記載された費消金額の範囲内である場合には、判決の基礎となる事実に不当な差異はなく、憲法違反や刑訴法411条の適用事由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が公金等を費消したとして起訴された事案において、第一審判決は被告人の費消事実を認定した。これに…