判旨
本件は、上告趣意が事実誤認または量刑不当の主張、あるいは原審の認定しない事実に基づいた批判にすぎない場合には、上告の適法な理由にならないことを示したものである。
問題の所在(論点)
事実誤認、量刑不当、または原審の認定しない事実に基づき原判決を攻撃する主張が、適法な上告理由(刑事訴訟法上の不服申立事由)に該当するか。
規範
刑事訴訟法上、上告審は法律審であるため、単なる事実誤認や量刑不当の主張、あるいは原審が認定していない事実を前提とする主張は、適法な上告理由にはならない(刑事訴訟法施行法2条、旧刑訴法446条参照)。
重要事実
被告人側が原判決に対して上告を申し立てたが、その上告趣意の内容は、原審の事実認定に誤りがあるとする主張や、量刑が不当であるとする主張であった。また、原審が認定していない事実を前提として、原判決の不当性を訴えるものでもあった。
あてはめ
弁護人が主張する上告趣意を検討すると、結局のところ原審の事実認定が誤っているとする事実誤認の主張、あるいは刑が重すぎるとする量刑不当の主張に帰着する。加えて、原審がそもそも認定していない事実を根拠として原判決を攻撃している。これらはいずれも法律上の上告理由として限定的に定められた事由に該当せず、法律審としての検討に値しない。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却を免れない。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における上告理由の限定性を確認したものである。答案作成上は、事実認定の当否や量刑の妥当性が法律論(憲法違反や判例違反等)に昇華されていない限り、上告審での主張としては排斥されるという手続的帰結を説明する際に参照される。
事件番号: 昭和25(れ)1614 / 裁判年月日: 昭和26年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が事実誤認または量刑不当の主張に帰する場合、法令の規定により適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その趣意書の内容が事実の誤認および量刑の不当を主張するものであった事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認または量刑不当の主張が、刑訴応急措置法13条…
事件番号: 昭和25(れ)1449 / 裁判年月日: 昭和26年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認を理由とする上告は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、弁護人が主張した上告趣意の内容は事実誤認を主張するものであった。 第2 問題の所在(論点):事実誤認の主張が、当時の刑事訴訟手続(刑事訴訟法応急措置法等)…
事件番号: 昭和26(れ)157 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認または量刑不当の主張は、刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書において、原判決における事実の認定に誤りがあること、および、宣告された刑の量定が不当に重いことを主張した。 第2…
事件番号: 昭和25(あ)2061 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条に規定される上告理由に当たらない主張や、同法411条の職権破棄事由が認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の訴訟手続違反、および量刑の不当または量刑に関する事実の誤認を理由として上告を申し立てた。これに対し、最高裁判所が記録を精査し、上…
事件番号: 昭和26(れ)945 / 裁判年月日: 昭和26年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない事実誤認の主張や、同法411条を適用すべき顕著な正義に反する事由がない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:弁護人が、被告人の有罪判決に対して事実誤認を理由に上告を申し立てた事案。弁護人は、下級審の事実認定に誤りがあることを強く主張していた。 第2 問…