判旨
刑事訴訟法における上告理由について、事実誤認の主張は適法な上告理由に当たらない。旧刑事訴訟法下及び刑事訴訟法応急措置法においても、法令違反等の限定された事由のみが上告理由として認められる。
問題の所在(論点)
事実誤認の主張が、刑事訴訟法(および当時の応急措置法)上の適法な上告理由となるか。
規範
上告審は法律審であり、原則として原判決における法令適用の誤り等を審査の対象とする。したがって、単なる事実誤認の主張は、法律上の適法な上告理由には該当しない。
重要事実
被告人側が、原判決に対して事実誤認があることを理由として上告を申し立てた事案。本件は昭和26年当時の刑事訴訟法応急措置法が適用される状況下での判断であった。
あてはめ
弁護人の上告趣意は、実質的に原判決の事実認定を争う事実誤認の主張に帰するものである。刑事訴訟法応急措置法13条2項によれば、事実誤認は上告理由として規定されておらず、適法な理由とはいえない。
結論
事実誤認の主張は上告適法の理由にならないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
現行刑事訴訟法405条においても、上告理由は憲法違反や判例違反に限定されており、事実誤認は同条の上告理由にはならない(ただし411条3号による職権破棄の可能性は残る)。実務上、上告趣意書では単なる事実誤認ではなく、憲法違反や判例違反の形を整える必要があることを示唆する。
事件番号: 昭和40(あ)2241 / 裁判年月日: 昭和41年4月14日 / 結論: 棄却
公務執行妨害罪における職務としての現行犯人逮捕行為の適法性の判断は、逮捕行為当時における具体的状況を客観的に観察して、現行犯人と認められるに十分な理由があつたか否かによるべきものであつて、事後において犯人と認められたか否かによるべきものではない。
事件番号: 昭和26(あ)3297 / 裁判年月日: 昭和28年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、事実誤認の主張や逮捕時の警察官の行動に対する非難は、憲法違反をいうものであっても適法な上告理由には当たらないとしている。 第1 事案の概要:被告人が逮捕された際、警察官が何らかの行動をとったが、弁護人はその逮捕当時の警察官の行動を非難し、併せて憲法違反や事実誤認を主張して上告を申し立てた…