判旨
刑法66条所定の酌量減軽は、裁判所の自由裁量に委ねられた事項であり、法律上必ず刑を減軽すべき「刑の減免の原由」(刑事訴訟法335条2項)には当たらない。
問題の所在(論点)
刑法66条に基づく酌量減軽の主張が、刑事訴訟法335条2項にいう「刑の減免の原由となる事実の主張」に該当し、判決においてこれに対する判断を示す必要があるか。
規範
刑事訴訟法335条2項にいう「刑の減免の原由となる事実の主張」とは、法律上の減免事由(必要的減免・必要的加重等)に関する主張を指し、裁判所の裁量的判断に属する事項は含まれない。刑法66条の酌量減軽は、犯罪の情状に鑑みて裁判所が任意に刑を減軽できる制度であり、法律上の義務ではないため、同条の主張は同項の「事実上の主張」に該当しない。
重要事実
上告人は、原審が刑法66条に基づく酌量減軽の主張に対して何ら判断を示さなかったことが、旧刑事訴訟法360条2項(現行法335条2項に相当)に定める判断遺脱の違法に当たると主張して、上告を提起した。
あてはめ
刑法66条は「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と規定しており、減軽するか否かは裁判所の自由裁量である。これは法律上の必要的事由ではなく、判決に必ず記載すべき事項とは解されない。したがって、弁護人が酌量減軽を求めたとしても、それは単なる量刑上の意見に過ぎず、裁判所がこれに対して明示的な判断を示す法的義務を負うものではないといえる。
結論
酌量減軽の主張は刑の減免の原由には当たらないため、これに対する判断を示さなかった原判決に判断遺脱の違法はない。
実務上の射程
刑事訴訟法335条2項の「判断の不告知」の論点において、法律上の減免事由(自首、過剰防衛等)と酌量減軽を区別する基準として用いる。答案上は、本判例を根拠に酌量減軽が裁量事項であることを指摘し、同項の対象外であることを簡潔に論述すれば足りる。
事件番号: 昭和26(あ)2787 / 裁判年月日: 昭和26年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の量定および未決勾留日数の算入は原審の広範な裁量に属する事項であり、これに対する不服申し立ては、刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判決に対し、量刑および未決勾留日数の算入が不当であるとして上告を申し立てた事案。判決文からは具体的な犯罪事実の詳細は不…