判旨
刑法66条に基づく酌量減軽を適用するか否かの判断は、事実審裁判所の広範な裁量に属する事項である。したがって、これを行わなかったことを不服とする主張は、実質的に量刑不当の訴えであって適法な上告理由にはならない。
問題の所在(論点)
刑法66条に基づく酌量減軽を適用するか否かの判断が、事実審の裁量に属するか、あるいは上告理由となり得る法的義務か。また、酌量減軽の不適用を理由とする上告が、刑事訴訟法上の適法な上告理由(法律の適用の誤り等)に該当するか。
規範
刑法66条の酌量減軽の適用は、原事実審の専権に属する裁量事項である。裁判所が諸般の情状を考慮した上で減軽を行わないと判断したとしても、それは法律の運用に誤りがあるものではなく、実質的な量刑不当の問題に留まる。
重要事実
被告人が原審の判決に対し、酌量減軽(刑法66条)がなされなかったことを不服として上告した事案である。上告趣意において、弁護人は原審が減軽を行わなかったことの不当性を主張した。
あてはめ
酌量減軽は、犯罪の情状に鑑み刑を減軽することができるとする規定であり、その適用の有無は原事実審の裁量に委ねられている。本件において、原審が減軽を行わなかった判断は裁量の範囲内のものであり、これを争う主張は、当時の刑事訴訟法応急措置法13条2項にいう量刑不当の主張に帰する。したがって、法律の適用の誤りを争うような適法な上告理由を構成するものではない。
結論
酌量減軽をするか否かは原事実審の裁量に属するため、これをしなかつたことを不服とする上告は棄却される。
実務上の射程
裁判所による量刑判断、特に任意的減軽規定(刑法66条)の適用については、事実審に広範な裁量が認められることを示す。司法試験の刑事訴訟法・刑法において、量刑判断の妥当性を争う主張が「法の解釈誤り」ではなく「量刑不当」に過ぎないことを論証する際の根拠として機能する。ただし、現在は刑事訴訟法402条(不利益変更禁止)や381条(量刑不当による控訴)等の文脈で議論されることが多い。
事件番号: 昭和26(あ)2787 / 裁判年月日: 昭和26年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の量定および未決勾留日数の算入は原審の広範な裁量に属する事項であり、これに対する不服申し立ては、刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判決に対し、量刑および未決勾留日数の算入が不当であるとして上告を申し立てた事案。判決文からは具体的な犯罪事実の詳細は不…