判旨
判決に証拠として採用されていない書面に瑕疵があったとしても、判決に影響を及ぼさないことが明白であるならば、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原判決において証拠として採用されていない書面の瑕疵が、上告理由(判決に影響を及ぼすべき法令違反等)に該当するか。
規範
判決の基礎となっていない証拠に手続上の瑕疵や事実の歪曲があったとしても、そのことが直ちに判決に影響を及ぼすものではない。また、取調過程における強要等の主張については、これを認めるべき資料が存しない限り、証拠の取捨選択は原審の裁量に属する。
重要事実
被告人が警察官や検察官による取調において、事実を曲げた強要による供述がなされたと主張した事案である。具体的には、被害者Aの被害顛末書および聴取書に瑕疵があること、並びに捜査機関の取調が不当であることを理由に上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、問題とされたAの被害顛末書および聴取書は、原判決において証拠として採用されていない。したがって、仮に当該書面に所論のような瑕疵が存在したとしても、判決の結論に影響を及ぼさないことは明白である。また、取調において強要があったとする主張についても、これを裏付ける資料が存在しない以上、原審の証拠選択の合理性を否定することはできない。
結論
原判決に影響を及ぼすべき違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
証拠能力や証拠調べの手続違反を争う際、当該証拠が実際に有罪判決の根拠(罪体等の認定)に用いられているかを確認する必要がある。判決に引用されていない証拠の瑕疵を突いても、判決への影響がないとして排斥されることを示す実務上の指針となる。
事件番号: 昭和26(れ)140 / 裁判年月日: 昭和26年4月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認及び量刑不当の主張は、刑訴応急措置法13条2項(現行法上の適法な上告理由に相当する規定)に基づき、上告適法の理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人側が、原判決には事実の誤認があること、および言い渡された刑の量定が不当に重いことを理由として上告を提起した事案。 第2 問題の所在(論点)…