判旨
連続犯の規定の廃止後において、贈賄者、日時、場所、賄賂の種類・金額等に差異があり、各犯行を明確に区別し得る場合には、特段の事情がない限り併合罪(刑法45条前段)として扱うのが相当である。
問題の所在(論点)
刑法改正による連続犯規定の削除後において、態様を異にする複数の収賄行為がなされた場合、これらを包括一罪として扱うべきか、あるいは併合罪(刑法45条前段)として扱うべきか。
規範
贈賄者、収賄の日時、場所、賄賂の種類、金額等において差異があり、各行為を明確に区別し得る場合、これらを包括して一罪と認めるべき特段の事情がない限り、併合罪として認定処断すべきである。
重要事実
被告人Aは、昭和22年11月15日の刑法改正により連続犯(旧刑法55条)の規定が削除された後、複数回にわたり収賄行為に及んだ。これらの各行為は、贈賄者、日時、場所、賄賂の態様や金額においてそれぞれ異なっていた。原審はこれを併合罪として認定したが、被告人側はこれを不当として上告した。
あてはめ
本件における各収賄行為を検討すると、贈賄者、日時、場所、賄賂の種類および金額のいずれかに差異が認められる。これにより、各行為は他の行為と明確に区別することが可能である。また、これらの犯行をあえて包括して一罪と評価すべき特段の事情も一切うかがわれない。したがって、経験則に照らせば、これらの独立した犯行を併合罪として処断することは正当である。
結論
各犯行は独立性が高く、包括一罪とする特別の事情もないため、併合罪として処断した原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
数個の収賄罪の罪数判断におけるリーディングケースである。犯行の個別性が高い(日時・場所・相手方の相違)場合には、原則として併合罪となることを示した。答案上は、職務権限の共通性や犯意の単一性を検討しつつも、事実関係の非連続性を捉えて併合罪と導く際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)1310 / 裁判年月日: 昭和26年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官は別個の犯罪について同時に起訴すべき義務を負わず、裁判所もまた捜査段階で同時に取り調べられた別個の犯罪を併合審理すべき義務を負わない。 第1 事案の概要:商工事務官であった被告人は、農機具係として商工省指定工場の指導監督等の任に当たっていた。被告人は、横領罪および収賄罪について、司法警察官お…
事件番号: 昭和27(れ)162 / 裁判年月日: 昭和27年11月11日 / 結論: その他
連続犯中に大赦中によつて赦免される罪と然らざる罪とがある場合には、その連続一罪を為す犯罪は総べて赦免されないものと解するのが相当である。