連続犯中に大赦中によつて赦免される罪と然らざる罪とがある場合には、その連続一罪を為す犯罪は総べて赦免されないものと解するのが相当である。
連続犯と大赦との関係
昭和22年法律124号による改正前の刑法55条,昭和27年政令117号大赦令2条
判旨
連続犯(旧刑法55条)の関係にある数個の罪のうち、一部が恩赦(大赦)の対象であっても、他の罪が対象外である場合は、処分的一罪としての性質に鑑み、その全体について赦免されない。
問題の所在(論点)
刑法改正(昭和22年)前の連続犯(処分的一罪)において、その一部に大赦(赦免)の事由があるが、他の一部にはない場合、全体として赦免の効果が及ぶか。
規範
大赦令2条に「前条に掲げる罪に当たる行為が、同時に他の罪名に触れるとき、又は他の罪名に触れる行為の手段若しくは結果であるときは、赦免をしない」との規定がある。いわゆる連続犯は、想像的併合罪や牽連犯と同様に処分的一罪(一個の刑を科すべき犯罪)であるから、連続犯を構成する一部の罪が赦免されるべき場合であっても、他の罪が赦免されないときは、その全体が赦免の対象外となる。
重要事実
被告人Aは、物価統制令違反等に該当する一連の行為(物品の売買等)を行い、これらは連続一罪の関係にあるものとして起訴された。その後、昭和27年大赦令が公布されたが、被告人の行為の一部については大赦の対象となる罪名であったものの、連続犯を構成する他の物品(乾パン及び自動車用揮発油)に関する罪は、大赦令2条の除外規定に抵触する状況にあった。弁護人は、大赦により免訴されるべきであると主張して上告した。
事件番号: 昭和27(れ)197 / 裁判年月日: 昭和28年9月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】共同被告人の公判廷における供述や、被告人自身の公判調書記載の供述を総合することにより、贈賄罪の事実認定を行うことは適法である。また、併合罪の関係にある一部の罪について大赦があった場合には、当該事実について免訴を言い渡した上で、残余の罪について刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は贈賄罪…
あてはめ
本件における一連の物価統制令違反の事実は、旧刑法55条に基づき連続一罪として処断されている。大赦令2条の趣旨は、一個の処断対象となる犯罪事実の中に、赦免されるべきでない罪が含まれている場合には、その全体の赦免を認めないという点にある。本件では、連続犯を構成する事実の中に大赦の対象外となる罪が含まれている以上、これと不可分な一体を成す連続一罪の全体について、赦免の効力を認めることはできない。
結論
連続犯中に赦免される罪とされない罪が混在する場合、その全体が赦免されない。したがって、本件被告人の行為のうち連続一罪とされる部分については免訴すべきではなく、有罪とした原判決の判断は正当である。
実務上の射程
現在は連続犯規定は削除されているが、科刑上一罪(想像的併合・牽連犯)における「不可分な一罪」の処理に関する基本的な考え方として参照される。免訴事由(刑訴法337条等)が犯罪事実の一部にのみ生じた場合の処断範囲を検討する際の解釈指針となる。
事件番号: 昭和25(あ)1916 / 裁判年月日: 昭和27年11月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について政令による大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の罪数関係にある罪については、別途刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令3条違反の罪および刑法198条の贈賄罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた…
事件番号: 昭和26(れ)2292 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は職権で当該部分を調査し、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反(人造絹織物の不当高価買受・販売)および贈賄の罪に問われ、原審で有罪判決を受けていた。上告審継続中に昭和27年政令第117号および第87号により、…
事件番号: 昭和27(あ)3021 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の複数の犯罪事実のうち、一部の罪についてのみ大赦があった場合、大赦のあった部分については免訴とし、それ以外の罪については改めて刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人の複数の犯罪事実について第一審及び原判決がなされたが、上告審の継続中に昭和27年政令117号大赦令が公布された。被告…
事件番号: 昭和26(れ)688 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】山口県嘱託岩国渉外事務局資材係の身分を有する者に対して利益を供与した行為につき、公務員に対する贈賄罪の成立を認め、物価統制令違反については大赦による免訴を言い渡した。 第1 事案の概要:被告人は、昭和22年当時、山口県嘱託岩国渉外事務局資材係の身分を有していたAに対し、贈賄行為(第一の事実)を行っ…