本件における起訴事実である森林窃盗の賍物収受と原判決の認定事実である森林窃盗とは、その基本的事実関係において同一性を失わないものと認められるか、論旨後段の不告不理の違反があるという主張も採ることを得ない。
起訴事実たる森林窃盗の賍物収受を森林窃盗と認定することと公訴事実の同一件
森林法87条,森林法84条7号,旧刑訴法291条,旧刑訴法409条,旧刑訴法410条18号
判旨
公訴事実である森林窃盗の賍物収受と、判決で認定された森林窃盗の事実は、その基本的事実関係において同一性を失わない。したがって、裁判所が検察官による訴因変更の手続を経ずに森林窃盗として処断しても、不告不理の原則に違反しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における不告不理の原則に関し、当初の公訴事実である「森林窃盗の賍物収受」と、認定事実である「森林窃盗」との間に公訴事実の同一性(現行法における刑訴法312条1項の範囲)が認められるか。
規範
公訴事実に示された犯罪と認定される犯罪との間に「基本的事実関係の同一性」が認められる場合には、裁判所は訴因変更の手続を要することなく、当該事実を認定して処断することができる(不告不理の原則の例外)。
重要事実
農林事務官である被告人が、他人に指示して国有林の松立木を伐採・窃取した。検察官は当初、この事実を「森林窃盗の賍物収受(盗品等譲受等)」として起訴したが、原審(控訴審)は、証拠に基づき被告人自身を正犯とする「森林窃盗」の事実を認定し、被告人を処断した。被告人側は、これが起訴されていない事実を裁判したものであり不告不理の原則に反すると主張して上告した。
あてはめ
森林窃盗の賍物収受と、その前提となる森林窃盗は、対象となる客体(本件では松立木)が共通しており、時間的・場所的関連性も密接である。賍物収受罪は本犯(窃盗)の存在を前提とする関係にあり、本件における両事実は、その基本的事実関係において同一性を失わないものと認められる。したがって、検察官の請求を待たず、また新たな訴因を立てることなく認定事実に基づき処断することは許される。
結論
賍物収受と森林窃盗の間には基本的事実関係の同一性が認められるため、不告不理の原則には違反せず、原判決は適法である。
実務上の射程
本判決は、本犯と賍物罪(盗品等関与罪)の間の公訴事実の同一性を認めた事例である。答案作成上は、訴因変更の要否(刑訴法312条)を論じる際、「基本的事実関係の同一性」を肯定する根拠として活用できる。ただし、現代の訴訟実務では被告人の防御権行使の観点から、態様の異なる罪種への変更には原則として訴因変更手続を要すると解されるのが一般的である点に注意を要する。
事件番号: 昭和42(あ)1532 / 裁判年月日: 昭和44年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地台帳上の氏名誤謬訂正許可により所有名義が変更されたとしても、それは名義上の変更にすぎず、直ちに実体法上の所有権の移転を生じさせるものではない。また、不法領得の意思を否定する事情としての権利の誤信についても、客観的な記録上の裏付けがない限り認められない。 第1 事案の概要:被告人両名が本件原野に…