判旨
被告人の自白と補強証拠を総合して犯罪構成要件に該当する事実が認定できるならば、自白の各部分について個別に補強証拠を必要とするものではない。
問題の所在(論点)
自白の補強証拠(刑訴法319条2項)は、自白の各部分(犯罪構成要件を構成する個々の事実)について個別的に必要とされるか。
規範
被告人の自白に補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)を要するのは、自白の真実性を担保し、虚偽自白による誤判を防止する点にある。したがって、自白と補強証拠とが相まって、全体として犯罪構成要件に該当する事実を認定できる場合には、自白の細部すべてについて個別の補強証拠を要するものではない。
重要事実
被告人は、昭和21年4月24日に犯意を継続して強盗殺人と強盗殺人未遂の罪を犯したとして起訴された。原審は被告人の自白のほか、他の証拠を総合して犯罪事実を認定し、刑法240条後段等を適用して死刑を言い渡した。これに対し弁護人は、自白の各部分について補強証拠が必要であるにもかかわらず、それが欠けている旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、原審は被告人の自白に加えて、判決で挙げられた他の証拠を総合して、強盗殺人および同未遂の犯罪構成要件に該当する判示事実を認定している。自白とこれら証拠を照らし合わせることで、犯罪の客観的事実の真実性が全体として担保されており、自白の各部分について一々個別の補強証拠を求める必要はないと判断される。
結論
自白の各部分について個別の補強証拠は不要であり、全体として構成要件的事実を認定できれば足りるため、原判決に違法はない。
実務上の射程
補強証拠の範囲に関する「実質説(真実性担保説)」の立場を鮮明にした判決である。答案上は、補強証拠が自白にかかる犯罪事実のどの程度をカバーすべきかという論点において、実質的な真実性の担保があれば足りる根拠として引用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2113 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
所論は原判決が第一審判決の量刑を容認したのに対し、それは単なる量刑の問題ではなくして刑法二四〇条の真意を誤り実体法の適正な適用をしなかつたものであるから憲法三一条に違反するものであると主張するのである。しかしこの主張もまた第一審判決が実体法の適正な適用をしなかつたというに帰するものであつて、そして右主張は原審で申立てず…
事件番号: 昭和27(あ)1696 / 裁判年月日: 昭和27年10月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は、憲法11条(基本的人権の享有)、13条(個人の尊重・生命権)、97条(基本的人権の保障)及び36条(拷問・残虐な刑罰の禁止)の規定に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において死刑の判決を受けたところ、死刑制度そのものが憲法11条、13条、36条、97条、さらには9条に違反…
事件番号: 昭和26(あ)3686 / 裁判年月日: 昭和27年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量定が争われた事案において、諸般の犯情を調査した結果、被告人に対し死刑を選択することは、真にやむを得ないものと認められる場合には適法である。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪に関し、死刑の判決が下された。これに対し、弁護人が訴訟法違背および量刑不当を理由として上告を申し立て、死刑の選択が不…