判旨
死刑制度は、憲法11条(基本的人権の享有)、13条(個人の尊重・生命権)、97条(基本的人権の保障)及び36条(拷問・残虐な刑罰の禁止)の規定に違反しない。
問題の所在(論点)
死刑制度が、憲法11条、13条、97条が保障する生命権等の基本的人権を侵害し、または憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」に該当して憲法違反とならないか。
規範
刑罰としての死刑それ自体は、憲法11条、13条、97条が保障する基本的人権を不当に侵害するものではなく、また憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」にも該当しない。加えて、死刑制度と憲法9条との間には直接の抵触関係は認められない。
重要事実
被告人が刑事事件において死刑の判決を受けたところ、死刑制度そのものが憲法11条、13条、36条、97条、さらには9条に違反するものであるとして上告した事案である。判決文からは被告人が犯した具体的な罪状等の事案の詳細は不明である。
あてはめ
本件において、弁護人は死刑が憲法の諸規定に違反すると主張するが、既に最高裁判所が示した判例(最大判昭23.3.12等)の趣旨に照らせば、死刑制度が憲法11条、13条、36条、97条に違反しないことは明らかである。当該判例を変更する必要性も認められない。また、死刑制度が憲法9条に違反するという主張については、実質的な憲法違反の主張とは認められない独自の強弁にすぎない。
結論
死刑制度は憲法11条、13条、36条、97条及び9条のいずれにも違反せず、合憲である。
実務上の射程
本判決は、先行する大法廷判決(昭和23年)の合憲判断を踏襲し、小法廷においても死刑の合憲性を再確認したものである。答案上は、死刑制度の合憲性を論じる際の根拠として、昭和23年判決と併せて言及されることが多い。
事件番号: 昭和45(あ)721 / 裁判年月日: 昭和45年11月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審裁判所の構成が、同一の犯罪事実に関し、共犯者の別件被告事件を審理判決した裁判所の構成と同一であっても、憲法37条には違反しない。また、死刑制度は憲法31条、36条、13条等に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人は死刑判決を受けたが、上告において以下の主張を行った。①原審の裁判官が、…
事件番号: 昭和45(あ)293 / 裁判年月日: 昭和47年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度そのものは憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。また、強盗殺人罪等の重大な犯罪に対して死刑を科すことは、諸般の情状を考慮した上でやむを得ない場合には憲法上許容される。 第1 事案の概要:被告人は強盗殺人等の罪に問われ、一審および二審において死刑の判決を受けた。弁護人は、死刑制度そ…
事件番号: 昭和26(れ)2267 / 裁判年月日: 昭和27年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白と補強証拠を総合して犯罪構成要件に該当する事実が認定できるならば、自白の各部分について個別に補強証拠を必要とするものではない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和21年4月24日に犯意を継続して強盗殺人と強盗殺人未遂の罪を犯したとして起訴された。原審は被告人の自白のほか、他の証拠を総合し…