死刑事件
判旨
死刑制度そのものは憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。また、強盗殺人罪等の重大な犯罪に対して死刑を科すことは、諸般の情状を考慮した上でやむを得ない場合には憲法上許容される。
問題の所在(論点)
死刑を規定する刑法240条後段等の規定は、憲法36条が絶対的に禁止する「残虐な刑罰」に該当し違憲ではないか。また、具体的な事案において死刑を選択することが刑訴法411条の適用事由(著しい量刑不当)となるか。
規範
死刑を定める刑法の規定は、憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」には該当しない(大法廷判決の既定方針の維持)。量刑において極刑を選択することは、本件におけるすべての情状を考慮し、それが「まことにやむをえない」と認められる場合には適法である。
重要事実
被告人は強盗殺人等の罪に問われ、一審および二審において死刑の判決を受けた。弁護人は、死刑制度そのものが憲法36条の禁止する残虐な刑罰に当たり違憲であること、および量刑が不当であることを理由に上告した。
あてはめ
最高裁は、死刑が憲法36条に違反しないことは判例(昭和23年大法廷判決)により確立されており、これを変更する必要はないとした。具体的な量刑についても、記録上のすべての情状を精査した結果、原判決が維持した第一審の極刑判断は「まことにやむをえない」ものと認められ、刑訴法411条を適用して破棄すべき事由はないと評価した。
結論
死刑制度は合憲であり、本件強盗殺人等の行為に対して死刑を処した原判決に憲法36条違反や著しい量刑不当は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
死刑制度の合憲性に関する論証において、昭和23年の大法廷判決を維持・踏襲した小法廷判決として位置付けられる。答案上は、死刑そのものの違憲性を論じる際の根拠として、また死刑選択の基準としての「やむをえない(永山基準等の前身的な考慮)」の文脈で使用する。
事件番号: 昭和43(あ)2042 / 裁判年月日: 昭和44年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑を定めた刑法の規定は、日本国憲法第36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらず合憲である。死刑制度の合憲性は、既に確立された大法廷判決の先例を維持すべきものである。 第1 事案の概要:強盗殺人罪(刑法240条)に問われた被告人に対し、第一審判決が極刑(死刑)を宣告した。被告人側は、死刑を規定する刑…